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【レビュー】 THE CAT LADY - 強いメッセージ性と幻想的なグラフィックが特徴のホラーADV

THE CAT LADY

 

開発元: Harvester Games

発売年: 2012

価格(レビュー時点): ¥980 (STEAM)

開発元公式HP

販売ページ (STEAM)

対応ハード: Win

ジャンル: ADV (2D・サイドビュー・戦闘要素なし)

世界観・ストーリー: ホラー・サスペンス・ミステリー・サイコ

※一部R-18要素あり

 

レビュー時点のプレイ状況: 1回クリア

クリアまでのプレイ時間: 12時間

 

レビュー時点日本語対応: なし (MODも存在せず)

 

ページ内ネタバレ要素: なし (プレイ開始〜30分程度の冒頭部分については多少言及しています)

 

 

1.概要(ゲームルール・システム・世界観・雰囲気・音楽など)

切り絵アニメーションを思わせるような幻想的なグラフィック、作り込まれたストーリー、世界観を精密に描写する多数の楽曲が特徴のサイドビューADVです。

プレイヤーは孤独な中年女性のSusanとなって異世界や現実を探索し、自身にとっての脅威である5人の殺人鬼(Parasites)に立ち向かいます。

 

 

レビュー時点では日本語化MODが存在せず、それなりの量の英文を読みながらプレイする必要があります。フルボイスであるため雰囲気で何となく伝わる部分も多いと思いますが、使われている単語が結構難しく、僕は辞書を片手にプレイしました。

 

とはいえ、基本的にはアイテムを収集してそれをどこで使うかを考えるだけのシンプルなルールによって進んでいくため、言語が壁になって全く進めなくなるということはないでしょう。(ただし、会話の選択肢によってゲーム展開が変わるのでその点は注意が必要。普通にクリアするだけでなく、ストーリーの把握や全実績解除まで目指すならある程度の言語能力は必要でしょう。

 

アイテム探し&使用以外の挑戦課題も時折あらわれ、その都度画面上の指示・説明メッセージとともに示されます。

1回しか登場しないタイプのものもちらほら。

 

残虐描写はありますが、恐怖度はさほど高くないと言って良いでしょう。

多少驚かされるシーンはありますが、あくまで世界観としてホラーを採用しているといったところ。

 

 

 

2.良い点・見どころ

グラフィック、音楽、ストーリーとどこを取っても素晴らしいゲームなのですが、やはり最初に語るべきはストーリーでしょう。ネタバレにならない程度に冒頭部分をちょっとだけ紹介します。

 

 

ストーリーは「猫だけが友達だ」と話す、孤独な中年女性Susanの自殺から始まります。自殺したはずがいつの間にか異世界におり、そこで自分の死体を発見、うろうろしている内に出会った謎の老婆からある依頼を受ける。「私の代わりに5人のParasites(殺人鬼)を殺してほしい。そうすれば、あんたには今までと違った幸せな人生が待ってるよ。」と。

この時点でまずまずのぶっ飛び具合ですが、更には「あんたには絶対的な優位があるんだよ。これを成し遂げるまでは不死身なんだからね。」というようなことを付け加えます。

 

やむなく依頼を受けて現実に戻るSusan

「猫だけが友達」といったセリフから、孤独でか弱い存在という印象を受けるかと思いますが、ゲームが進行するにつれて、どうにもSusanはただか弱いだけの存在ではないことがわかってくる。皮肉めいたジョーク、ある時点で主人公の相棒となるMitziとのやり取りと友情。

 

なぜSusanは人生に絶望しているのか、なぜ猫だけを愛する孤独な人間になってしまったのか、老婆の言う通り、全てが終わったら本当に“幸せな人生”が待っているのか、5人のParasitesと対峙する中でそれらは明らかになっていきます。

 

ぜひとも最後まで見届け、本作に託されたメッセージを受け取ってほしいと思います。

まるでロードムービーやヒューマンドラマのような、作者の人生観が込められた作品です。

 

 

次にグラフィック。

色数をおさえ、遠近感を排除し、実写とイラストが入り混じる様は切り絵アニメーションを思い起こさせます。

異世界は幻想的・夢想的な雰囲気です。

 

こういったゲームに定番の正体不明機械・・。

 

自分の死体を発見するシーンなのになぜこうも美しいのか。

 

 

に音楽。BGMはジャズやプログレ系のおしゃれな曲やアンビエントが多いです。

一方、歌曲はnine inch nailsMisery loves co.あたりを思わせる攻撃的なインダストリアルメタルだったり、悲しげなシューゲイザーだったりとバラエティに富んでいます。

どれも素晴らしい曲ですので、サントラ込みでの購入を強くおすすめします。

 

 

 

3.難点

難点というほどでもないのですが、序盤(病院)の謎解きはやや難しく感じました。

詰まったら総当たり的に試していくことも必要ですね。

以降はさくさく進んで楽しかった記憶。

 

やや動作が不安定なところがあるため、プレイ中に起きた不具合と対処法をあげておきます。

 

Win10機(GTX970)でプレイすると音が鳴らないことがありました。一度最小化して戻すと以降は正常に鳴るようになりました。

WinXP機(HD6850)でプレイしたとき、デフォルトの設定では画面の表示範囲がおかしくなる(画面が右下方向にずれ、見切れている)ため、起動時に選択できる「SetUp」から「Advanced」を開き、

Enable side borders」、「Enable top & bottom borders」、「Smooth scaled sprites (fast CPUs only)」にチェックを入れて起動すると正常動作するようになりました。

・濃い霧が出る場面でフレームレートが極端に低くなる場合があるようです。僕のPC(上記のXP機)でも起こりました。さほど長い場面ではないのでゲームが進行できなくなるほどではないですが・・。

 

その他、ウィンドウ表示・フルスク表示ともに解像度設定ができないのは少々難点です。

あとは、セーブ・ロード時に確認メッセージなどがないため、操作を間違えやすいことでしょうか。

一度、間違ってロードして前のチャプターに戻されてしまいました・・。

各チャプターからプレイすることもできないため、この点はやや注意が必要です。

 

 

 

4.おすすめしたい人

・ゲームで言えばサイレントヒル、映画でいうとデヴィッド・リンチ作品のような異世界ものが好きな方

・メッセージ性の強い作品、作家性が強く出ている作品が好きな方

・プレイ後に余韻を残す作品が好きな方

 

 

5.総評

ほどよいプレイ時間の中で展開される中身の濃い個性的なストーリー、美しい音楽とグラフィック。

ADV好き、ホラー好きならば買わない理由はないでしょう。

: ゲームレビュー : 23:54 : comments(0) :
【レビュー】 Enola - 妖艶で不気味な雰囲気が魅力の探索型ホラーADV

Enola

 

 

開発元: The Domaginarium

発売年: 2014

価格(レビュー時点): ¥1480 (STEAM)

開発元公式HP

販売ページ (STEAM)

対応ハード: Win

ジャンル: 探索型ADV

世界観・ストーリー: ホラー・サイコミステリー・百合

R18要素あり

 

レビュー時点のプレイ状況: 2回クリア (Normal Mode

クリアまでのプレイ時間:810時間程度(1周あたり)

 

ページ内ネタバレ要素: ページ下部にあり(注意書きを入れてあります

 

 

1.概要(ゲームルール・システム・世界観・雰囲気・音楽など)

妖艶で不気味な雰囲気が魅力の探索ADVです。

プレイヤーはEnolaとなり、いなくなってしまった恋人のAngelicaを探すため、彼女の過去の記憶やトラウマとなった出来事などに触れながら、不条理かつ幻想的な世界を探索することになります。

インディー作品らしい粗さはありつつも、独特・個性的な世界観と雰囲気は非常に魅力的です。不条理な世界観に反してストーリーは明確であり、テキストや会話(回想など)によって直接的に情報が得られる割合が多いと思います。

 

レビュー時点では日本語非対応、日本語化MODも存在しないため、ある程度の英語力は必要かと思います。基本的に平易な表現が多いのですが、それなりの数の人物が登場するため、内容の整理がやや難しく感じました。

 

僕の場合、1回目のプレイでは全体の半分もストーリーがつかめず、EDもおそらく一番悪いものでした。

しかしながら、本当に独特としか言いようがない魅力的な世界観と雰囲気が忘れられず、英語の勉強をちょこちょこするようになったこともあって再プレイを決断。2回目では無事ベストED(と思われますが、ED2種類しか見ていないため詳しくは不明。便宜上ベストEDと表記します。)を迎えることができました。

テキスト、会話ともに自分なりに翻訳・メモしながらのプレイはなかなか大変でしたが、1回目のプレイだけで諦めなくて本当に良かったと思っています。無事ベストEDを迎えられたことだけでなく、本作の魅力をきちんと理解できたことが本当に良かったなと。

 

ゲームの進行はほとんどが鍵やアイテムを探して使う、パズルを解くなどによって行われます戦闘のない探索型ADVとしては実にオーソドックスな作りです。

一部敵から逃げ回る・隠れるなどの動作が必要になるところもありますが、あくまでおまけ程度。

死亡原因の大体は針やプレス機などのトラップによるものと落下でしょう。

 

クイックセーブは不可能で、所定の箇所(Angelicaの写真が挟まったオルゴール)でのみセーブ可能です。セーブスロットは5つ。マルチED6種類のようです)であることを考えると少し厳しすぎるかなという印象。

ED全回収を目指すとなると周回プレイは避けられないかもしれません。1周あたりがなかなか長いのと、(詳しくは後述しますが)マップがなかなか迷いやすい作りであるため少々厳しいですね・・。

 

開始時「Normal mode」と「Nightmare mode」の2つからゲームモードを選ぶようになっていますが、これは難易度選択ではなく、アップデートで追加された新要素を含めて遊ぶかどうかの選択のようです。

レビュー時点ではまだNightmareでプレイしていないため、残念ながら詳細は不明。これから遊ぶ方は最初からNightmareの方がいいかもしれません。

 

 

2.良い点・見どころ

なんと言っても独特な世界観と雰囲気。音楽も秀逸です。恐怖度はそれほど高くないのですが、妙に不気味で不安感を煽られるものがあります。

ストーリーもなかなかえげつなく、深みを感じる内容です。ゲームの進行とともにAngelicaの生い立ちやトラウマとなった出来事が明らかになっていきます。

中にはEnolaAngelicaの出会いを綴ったものなど、微笑ましいものも。

Enola自身の過去、人物像などについてもゲームの進行にしたがって明らかになっていきます。

 

光の描写が妙に美しく幻想的。

 

開始地点近くにある不気味な人形。

 

調べると、風俗店か何かをほのめかすようなものが・・。

 

大体の英文はこんなくらいの内容で、それほど読みにくいわけではないのですが、話者が誰なのかわからないために混乱することがありました。2周目では一通り把握できましたが、1周目は頭の中が相当ごちゃごちゃしてた記憶があります。

 

Angelicaの写真が入ったオルゴール(セーブポイント)。美麗なグラフィックではないものの、Angelicaは結構かわいい。

 

全編通してマネキンその他人形が多く出てくる印象ですね。スクショでは伝わらないでしょうが、ここは妙に不気味です・・。

 

思いっきりアレな感じの人形。不気味かつ性的な表現が全編に渡って続きます。絵的に載せるかちょっと迷いましたが、本作の雰囲気が一番伝わるのはこの1枚ではないかなと。

 

 

3.難点

全体的な迷いやすさ、アイテムの見落としやすさ、パズルのノーヒントっぷり。このあたりが一番きついところです。迷うのは根気でカバーできますが、アイテムは本当に見分けがつきにくく、2周目ですら完全に見落としたものもありました。

パズルは何度も挑戦している内に自然と解けるものもありますが、数字を使ったパズルはいまだ理解できないものもあります。パズル自体はさほど楽しいものではないので、詰まったときは攻略を参照しても問題ないと思います。

あとはED分岐の条件でしょうか。僕は2周目でベストEDにたどり着きましたが、あくまで予測が運よく当たったという感じです。少なくとも1周目でいきなりベストEDにたどり着くのはかなり厳しいのではないかと・・。

ページ下部にNormalモードでのベストEDの条件について記載していますので、周回の予定がない人は参照してください。

その他の要素として、ゲーム内の問題ではないのですが、STEAMページからサントラを購入してもどこにもファイルが見当たらず、ゲーム本編からの再生メニューもどこにも見当たりませんでした。仕方なく返金リクエストを行った次第。サントラだけならbandcampからも買えるようなので、STEAMからは買わない方が良さげですね・・。

 

 

4.おすすめしたい人

・不条理、不気味な世界観が好きな方

人間の持つダークな部分、ネガティブな部分を扱った作品が好きな方

 

 

5.総評

不気味でエロティックな独特の世界観と雰囲気。稚拙な表現ですが、これが本作の一番の魅力です。

 

 

6.攻略メモ

Nightmareモードのプレイとあわせ、いずれ本格的な攻略記事を書くかもしれないので、ちょっとしたメモにとどめておきます。

ストーリー情報のネタバレにはならないようにしてありますが、自力クリアしたい方は見ない方がいいでしょう。

各項目は表題以外白文字になっていますので、必要な部分を反転させて読んでください。

 

・数字パズル (ボタンがたくさんある部屋。失敗すると大量のライフルで射殺されるところ。)

壁に並んでいる数字と床に書いてある文字がヒントで、素数の書かれたボタンだけを押していけば脱出できるはずです。

 

・数字パズル (確かFactoryの地下)

いまだに仕組みがわからないパズルですが、確か6種類ほど数字があってその中の一つが正解になっています。576だったか、真ん中あたりの数字が正解のはず。

 

ED分岐条件

おそらくは「Kill」と「Spare」を選択させられる部分が分岐条件です。

全て「Spare」を選ぶとベストEDでした。

一人でも殺してしまうと他のEDになるのかどうなのかは試していないので不明。

: ゲームレビュー : 05:08 : comments(0) :
【レビュー】亡国のクルティザンヌ - 時代に翻弄された少年の復讐劇

『亡国のクルティザンヌ』

 

開発元: Cosmillica

発売年: 2016

価格(レビュー時点): ¥1404 (DLsite)

開発元公式HP

販売ページ

対応ハード: Win

ジャンル: ビジュアルノベル(選択肢なし・フルボイス)

世界観・ストーリー: ミステリー・サスペンス・時代物・歴史もの・政治もの・背徳・退廃

18禁要素あり

 

 

レビュー時点のプレイ状況:1周プレイ

クリアまでのプレイ時間:78時間程度

 

ページ内ネタバレ要素: ページ最下部にあり(注意書きと長めの改行を入れてあります

 

 

1.概要(ゲームルール・システム・世界観・雰囲気・音楽など)

選択肢なしのビジュアルノベルであるため、正確にはゲームの定義からは外れます。

 

19世紀のパリを舞台にした、いわゆる時代物のミステリー/サスペンスです。

フランスの政変を基軸に物語が展開していくため、登場人物はそれぞれに政治的な思惑を持っており、複雑な利害関係にあります。

政治もの特有の陰湿さ、互いを出し抜こうとする心理戦・腹の探り合い、復讐に燃えるニナ(高級娼婦の女装少年)の心情、生い立ち・・・。実に重厚で隙がなく、人間の暗部を深く鋭く描いています。

 

作中で登場する政治に関わる出来事は、ほとんどが事実とされていることなのでしょう。

人物同士の会話場面だけでなく、政治体制の大きな移り変わりなどは、白黒写真や絵画とフランス語音声+日本語字幕による解説場面で説明されます。なにかのドキュメンタリーのような雰囲気です。

こういった配慮のおかげで、自分のような学のない人間でもなんとか物語についていくことができました。

 

絵こそ普通のアニメ絵ですが、内容はというと一般的なビジュアルノベル(数多くある、ラノベに寄せたような作品群)とは明らかに一線を画すものであるといえます。

 

 

2.良い点・見どころ

プレイヤーへの物語情報の伝達の仕方、情報量の制御が非常に見事です。

前半は、主人公の心の内・思惑などをプレイヤーに積極的に語り、これから起こるかもしれない出来事をある程度予測させながら緊迫感を生み出しています。そのためか、ニナの視点を通して語られる割合が多いように思います。

 

謳い文句の通り、本格的に群像劇となるのは後半からでしょうか。複数の登場人物を通して物語情報が得られる割合が多くなります。

それにも関わらず、重要人物の心の内は語られずに情報が制限され、急激に展開の予測ができなくなっていくことに不安を強く煽られます。

頭の中で、人物同士の関係、政治の動き、物語上の過去の出来事などを整理しながら必死に予測を立てようとするのですが、どうにも核心部分が見えてこず、つかみどころのない不安感がどんどん増大していく感覚がありました。

 

思考を繰り返しながら、もしや・・・と、ある人物の思惑がはっきりと理解できたときは、人間の持つ恐ろしさやおぞましさに全身が震え、涙が流れてくるほどの恐怖を覚えました。

因果関係も隅々まで抜かりなく構築されており、本当に隙のない作品です。

 

 

3.難点

一部ボイスが出ない箇所や顔グラが明らかに間違っている場所がありましたが、まあプレイには支障ない程度でしょう。

 

 

4.おすすめしたい人

・『ファタモルガーナの館』などの重厚なミステリー/サスペンス作品が好きな方

・歴史や政治を扱った作品が好きな方

・人間の暗部を深く描いた作品が好きな方

・余韻を強く残すダークな作品が好きな方

 

 

5.総評

分類上はエロゲーであることと、女装少年という少々好みが分かれそうなキャラクターが登場することなどから敬遠される方もいらっしゃるでしょうが、そういった部分にとらわれずぜひとも手に取っていただきたい作品です。

 

 

以下、長めの改行を挟んでネタバレ込みの感想になります。白文字にしてありますので、読む方は反転させてください。

プレイ前に読んでしまうと本作の魅力を大きく削いでしまうため、未プレイの方は絶対に見ないで下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6.ネタバレ込み感想

ずっと主人公だろうと思っていたニナが中盤で倒れたことも少々驚いたのですが、それよりも大人になったコレットが怖すぎて怖すぎて・・。

 

ニナの行動目的については直接語られる部分が多くかったのですが、対して大人になったコレットは行動目的がどうにもつかめないようプロットが工夫されています。

おそらくニナのかたき討ちをするのだろうな、ということは前半を見ていれば誰でも理解できますが、ナポレオンの愛妾となっても一向に手を下さず、「はて、もしや狙いは皇后か?」と思ってもそれもどうにも違う。

最初は殺し方にこだわってるのかな、くらいに思いながら読み進めていたのですけども、どうにもおかしい、何かおかしい・・という捉えどころのない不安感がどんどん強くなっていったのを思い出します。

 

少しずつ歯車が狂うように世論が戦争に向けて動き出し、本来国を取り仕切るはずの政治家や皇帝でさえもその動きを止めることができない様は、ポール・グリモーのアニメーション映画『王と鳥』を思い浮かべるものでありました。

 

そしてコレットの出生や目的をすべて理解できたときの言いようのない恐怖。恐怖。恐怖。

まさか、と予測が立った時点でもう震えと冷や汗が止まらなかったのですが、それが直接明かされたときには涙が溢れました。

あまりにも忌まわしくあまりにも悲しく、そしてどこまでも恐ろしい。

そしてコレットの目論見は見事達成され、たった一人の少年と、その意志を受け継いだ一人の少女に、ナポレオンも皇后も完全に屈し、フランスは破滅を迎える・・。

復讐を遂げたコレットすらも暴動の中で倒れ、全ては無に帰す。

 

どこまでも救われない話ですが、精密に構築された因果関係は結末を感情で否定することを一切許してくれません。

 

 

さて、ほとんど語りたいところは語りましたが、物語の中核部分以外のところにも少し触れていこうと思います。

 

個人的に気に入ったキャラクターはモルニー公ですね。

自らの罪、ニナから向けられた憎悪という憎悪を理解し、破滅を受け入れてなお、純粋なまでにニナを愛しているという彼の姿には心を打たれるものがありました。

 

濡れ場に関しては、ニナが警官に犯されるシーンが印象的でしたね。

非常に忌まわしくおぞましいシーン・・・のはずなのですが、本当に不思議なくらいニナの妖艶さが引き立つシーンだったなと。

その後のシーンも印象的で、あんな殺され方にも関わらず死に顔はとても穏やかに描かれています。

 

後になって考えると、ニナもまた、警官たちからの仕打ちを自らの罪(たくさんの男女を弄び破滅させてきたこと)への報いとして受け入れていたのかな、と思わなくもありません。

あるいは、モルニー公が言うところの「神が与えた最後の槍」に彼自らが飲み込まれてしまったのか。それも含めて自らの破滅を受け入れたのか。

 

選択肢のないビジュアルノベルは滅多に再プレイすることはないのですが、本作は珍しく例外になりそうです。

また一つ、忘れられない作品に出合うことができました。

: ゲームレビュー : 08:05 : comments(0) :
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