<< December 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< なぜ今更ブログを始めるのか : main : 『ルールズ・オブ・プレイ ゲームデザインの基礎(上)』 要約その1 「意味ある遊び」 >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

: - : : - :
【レビュー】BACK IN 1995 (STEAM / ミステリー・ホラー・ADV・探索・レトロ風・ローポリ)

『BACK IN 1995』

 

開発元: Throw The Warped Code Out
発売年: 2016

価格(レビュー時点):¥1180
開発元公式HP

販売ページリンク
対応ハード:Win / STEAM

ジャンル:ADV(探索型・3人称視点)
世界観・ストーリー:ミステリー、ホラー、SF

 

レビュー時点のプレイ状況:クリア済(全実績解除)

 


1.概要(ゲームルール・システム・世界観・雰囲気・音楽など)

SS・PS初期のローポリを再現した探索ADVです。

パッと見の雰囲気通り、サイレントヒルなどの強い影響が感じられます。

 

 

ローポリを再現することに加え、画面にはブラウン管風のエフェクトがかかっています。

ブラウン管っぽさをかなりおおげさに強調しているため、純粋なブラウン管の再現ではないのですが、ローファイなポリゴンモデルとあいまって見た目として非常にかっこよく、なんとも幻想的な雰囲気を作り上げています。

 

ローポリを再現したレトロ風ゲームというだけで今現在珍しいのですが、このゲームは単にローポリを再現することだけで終わっていません。

ダンジョン・建物のデザインなどに特によくあらわれていますが、あの時代のローポリ特有のカッコよさを十分に理解した上で制作している印象を強く受けました。

クリーチャーは少々お粗末ですが建物はなんとも素晴らしい。見ているだけで楽しいです。

ただ、サイヒルのような恐怖感は全くありません。あくまでホラー的な世界観を利用しているだけで、主軸はミステリーだと思います。

 

操作は初期バイオとほぼ同じ方式。左右旋回・前進後退、不自由なあの操作が味わえます。

ただし後退速度が結構速く、アイテム類も豊富であるため戦闘周りは楽々です。

 

 

2.良い点・見どころ

第一に、なんといってもこのグラフィックでしょう。

上述した通り、当時物の再現だけでなく、ローポリにしか出せないカッコよさをきちんと出せていることが素晴らしいです。

同じくらい重要な見どころはストーリー(というか作品全体を通してプレイヤーに伝えられるもの、メッセージ)なのですが、ネタバレになってしまうのでこちらに書けないのが残念・・。

非常に誤解を受けやすいゲームなので一つだけヒント、というか注意書きをしておくと、

 

ゲーム内で語られるストーリー情報やその他の情報には必ず意味があります。

 

ぜひとも、ゲーム全体を通して制作者が我々に何を伝えたいのか、思考を巡らせながらプレイしていただきたいと思います。

前半(〜1時間半くらい)は情報があまりに小出しで退屈に感じますが、中盤あたりから徐々に情報量が増えていき、ゲーム内のストーリーや制作者の意図について、あれこれ解釈を考えながらプレイしていくことが可能になります。

 

全てがわかったときは鳥肌が立つような興奮を覚えました。

 

そういった意味で、本作は純粋なまでにストーリーやメッセージを伝達するゲームです。

僕にとっては一生忘れられないゲームになりました。

 

 

3.難点

最大の難点は音楽です。音作りは悪くないと思うのですが、いくらなんでも単調すぎて眠くなります。耳に残るような曲は一切なし。代わりに作りたいくらいです。

敵キャラの少なさ、戦闘周りの戦略性の低さもマイナス点です。大体パイプレンチ1本でなんとかなってしまいます。

回復アイテムも豊富なため、アイテムのやり繰り・リソース管理といった面の楽しさには一切期待しない方が良いでしょう。

 

 

4.おすすめしたい人

・SS・PS時代のローポリが好きな人

・ローポリ特有のカッコよさにひかれる人

・最近面白いゲームがないとぼやいている方(レトロにどっぷりはまっている方、新しいゲームに興味が持てない方)

・メッセージ性の強い作品が好きな方

 

 

さて、ネタバレなしに本作を語るのはここまでが限界ですので、既プレイの方のみを対象にネタバレ込みの感想を書きます。

本作をプレイしたけど意味がわからなかったという方、このゲームにがっかりした方、期待外れだったという方には是非お読みいただきたいです。

 

未プレイの方は見ないで下さい。本作で得られる体験・経験の素晴らしさがほぼ消滅してしまいます。

うっかり見てしまわないよう長めに改行を入れておきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


5.ネタバレ込み感想
スタッフロール直前に唐突に挟まれる開発者コメント、主人公が言う「彼と私との違い」という意味深な言葉。

彼とは誰なのか?

突然のメタ的演出は一体何のためなのか?

 

プレイ直後はしばらく考え込みました。

 

しかし、振り返ってみるとあちこちに意味深なメッセージが多数埋め込まれており、STEAMのストアページにすらそのヒントがあります。

 

「都市には何が起こったのか、なぜあなたは戻ってきたのか、最大のミステリーはプレイヤー自身。」

 

僕はこの作品を、過去にとらわれ続け先に進むことができなくなった主人公と、過去の物を利用しながら新しい物を作り、前に進もうとする開発者との対比ととらえました。

 

過去にとらわれ続ける主人公とは、いわゆる「レトロゲーム」にしか興味を示さず、新しいゲームはつまらないと切って捨ててしまうようなタイプの偏狭なゲームファン層の隠喩でしょう。

それに対し、過去の物を利用しながらも前へと進む開発者。本作のメッセージは、新しいものに興味を示さなくなったゲームファンへの痛烈な批判であり、彼らの目を開かせることこそが本作の最大の目的だったのではないかと思います。

 

「レトロ風」というキャッチフレーズで対象の世代を誘引しつつ、新しいものに目を向けられなくなったプレイヤーに的確で突き刺さるようなメッセージを伝える。

メッセージの伝達の仕方として本当に見事で、深い共感を覚えました。

ゲーム内のストーリーだけではなく、作品全体がミステリーとして機能しています。

 

昨今レトロ風ゲームは掃いて捨てるほど存在し、レトロゲーム自体も妙な盛り上がりを見せています。

旧世代のゲームが見直されるのは一向に構わないのですが、明らかにその中に、ゲーム文化全体にとってマイナスになるであろうゲームファン層が存在する。

新しいものに目を向けられず、探すこともせず、自分がすっかり偏狭・偏屈になってしまったことも自覚できず、ただ勝手に今のゲームに絶望しているような人たちです。2011年頃、360を手にする以前の僕のように。

 

プレイヤーを過去へと連れていき、最後に現代へと連れ戻す。

現代へと戻ってくると、手元には開発者からの強烈なメッセージが残っている。

何のために開発者はプレイヤーを1995年へと連れて行ったのか、そのすべてが明らかになる。

 

ゲームのメディアとしての可能性を新たに切り開いた素晴らしい作品です。

: ゲームレビュー : 16:46 : comments(0) :
スポンサーサイト
: - : 16:46 : - :









http://dropb.jugem.jp/trackback/7
recommend.