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『ルールズ・オブ・プレイ ゲームデザインの基礎(下)』 要約その3
『ルールズ・オブ・プレイ ゲームデザインの基礎(下)』
著者: ケイティ・サレン、エリック・ジマーマン
訳: 山本貴光


1.ユニット3 第25章 意味の遊びとしてのゲーム(P147-P170)
『プレイヤーはどのようにしてゲームの表現を経験するのか。ゲームの表現と「現実世界」にはどんな関係があるのか。ゲームは、どんな表現のあり方を提供できるのか。この図式「意味の遊びとしてのゲーム」では、こうした問いに焦点を当ててみよう。』(P147)

最初に触れられるのが、ゲームの表現のあり方です。
​二通りのとらえ方があるといいます。

ゲームは表現できる:何かを表すことができる(物語としてのゲーム)
ゲームは表現である:何か別のものを表すことができる(シミュレーションとしてのゲーム)

「こうしたゲームと表現をつなぐ二つの道は、密接に関係し合っている。ゲーム内部の各種表現形態は共働することで、複合表現を生み出し、ゲームシステムからいっそう広く発することになる。」(P149)

双方は独立したものではなく、一つの作品の中に両方の側面が含まれていることが大半です。


​ゲームを意味のシステム(意味を生み出し伝えるシステム)として見ると、ルールによって支えられていることがわかります。

​例としてあげられるのがバーチャファイターなどの格ゲーにおける体力ゲージと制限時間、勝利条件です。
​一般的な格ゲーの場合、以下のような作りになっています。

​勝利条件:相手の体力を0にする、時間切れ時に相手より体力が多い
​体力ゲージ、制限時間:プレイヤー双方に見える形で公開されている

例えば100%vs30%で残り10秒であれば、100%側は逃げ切ろうとするのが得策ですが、残り30秒なら100%も油断できず、ある程度の攻めも必要になる(とプレイヤーが判断する)といった具合です。
勝利条件の2つは構成のルールの一部ですが、その経過や状況を把握するための仕組みである体力ゲージ、制限時間表示がプレイヤーの行動を大きく左右することがわかります。
体力ゲージや制限時間表示といった、システム内のたった一つの構成要素であっても、複数にわたる意味を同時に伝えたり、ゲーム状態の推移に応じてまた別の意味に変わったりするということです。

​「ゲーム中の意味は複雑な表現のループを作り、プレイヤーのやりとりによって影響したり影響されたりする表現を生み出すのである。」(P152)

この一言にそれらがまとめられています。


次に重要な点が、​ゲームは遊ばれることで意味を解釈されるということです。

「プレイヤーは、ゲーム世界とやりとりして、ゲーム世界を解釈して、記号と遊んでみて、そうした記号が何をしそうか、何を意味しそうかということを知り、こうしたことからゲーム世界についての情報を得るということだ。」(P157-158)

本章でも例としてあげられていますが、探索型のADVやFPSなどをプレイしている状態を思い浮かべるとイメージがしやすいです。
例えば、開かないドアがあって、そこからやや離れたところにボタンある。
​とりあえずボタンを押してみると先ほどのドアが開く。
​これによって、プレイヤーはボタンを「ロックされたドアを開ける装置」という意味で解釈することが可能になる、という具合。


次に確認される重要な概念が「認知の枠組み」です。

​「認知の枠組みとは、人が世界をどのように見るかということをまとめ上げる手段である。認知の枠組みとは、人が物事をどのように理解するかに影響する。」(P163)

これは遊びを成り立たせている必須の要素としてあげられています。言うならば、魔法円を成立させている要素です。
​つまり、参加者が「これは遊びだ」と認識できているからこそあらゆる遊びは成り立つということです。
​それを「​メタコミュニケーション」という概念を使って説明しています。

「メタコミュニケーションとは、遊びの文脈において行われる意思疎通である。」(P170)

『遊ぶということは、単にルールや遊びの儀式に従うことだけではなく、遊びの行動は「ただの遊びであってそれ以外のことではない」という認識を継続的に伝えるということだ。』(P165)

​つまり、プレイヤーは魔法円の中に入ってゲームのルールを受け入れつつも、魔法円の外のこと、つまりただ遊んでいるだけであるということも同時に認識しているということでしょう。



2.ユニット3 第26章 物語の遊びとしてのゲーム(P174-P270)
​『物語はいったいゲーム中のどこに存在しているのだろう。どのようにしたらゲームを物語の経験としてデザインできるのか。(中略)意味ある遊びをデザインする上で、物語はどんな役割を果たすのか。この「物語の遊びとしてのゲーム」図式では、こうした問いに迫ろう。(中略)この章では、「ゲームは物語かどうか」ではなく、「〔ゲームは〕どのような物語なのか」ということを問いたい。』(P176)

​ゲームは物語かどうかという議論は数多くありますが、本書ではゲーム=物語という見方を自明のものとして扱うようです。
​物語自体の定義も特にされず、最低限の簡単な特徴を述べられているだけです。
そのためか、訳注にも「物語」を「何らかの出来事を描写する枠組み」(P175 訳注2)と捉えると良いと補足があります。

ゲームを​ストーリーの面から語る場合、普通はシングルプレイのゲームを取り扱いますが、本書ではそれにとどまらず、マルチプレイのゲーム(例えばカウンターストライクなどのFPS)やスポーツまでも創発する物語であるととらえています。
バレーボールの例では、「プレイヤーがボールをサーヴするたび、このネットを介して攻守の劇的な物語が生じるのである。」(P208)とあります。
​やはり訳注の通り、物語=出来事の描写程度の意味でしかないようです。


最初に​ゲームの物語の構造を見ていきましょう。

「ゲームの総合的な物語の経験としては、固定の手法と創発の手法の両方を含んでおり、一つのゲーム構造の中で編みあわされているのである。」(P194)

「固定した〔物語の〕要素は、予め作っておかれた物語の構成要素だ。例えば、短い映像や筋書きの決まった場面など。」(P268)
​「創発する物語の要素は、プレイヤーがゲームとやりとりして進んでゆく中で作り出されるもので、ゲームシステムの働きから生じる。」(P194)

​あらかじめ用意された物語(説明書やオープニングなどで語られるもの)と別に、プレイヤーがその都度個別に経験する物語があるということです。
​固定した物語は創発する物語に文脈を与え、創発する物語はプレイヤーがゲームを遊ぶたびに無数に変化すると考えられます。
​その意味で、一つのゲームの中に無数の物語があると考えられます。


​次に、ゲームにおける物語の描写要素です。

「ゲームに含まれているどんな要素にも、物語の可能性が満ちている。ゲームの物語に関わる構成要素は、背景ストーリーとカットシーンだけではない。どんな表現にまつわる要素でも、物語の描写要素たりうるのであり、自分のプレイヤーに経験させたいストーリーをプレイヤーに伝える機会なのである。」(P230)

描写要素の総体は​二つに区分されます。
​架空世界:「そのゲーム世界の物語を含んでいるより大きな枠組みである。」(P269)
​ストーリーの出来事:「ゲームが進むにつれて生み出されてくる、物語の遊びの個別の場面である。」(P269)

プレイヤーがゲーム内で触れうるものが「ストーリーの出来事」、直接触れることはできないものの、存在すると想定できる世界が「架空世界」ということですね。
やや余談ですが、よくプレイヤーは「世界観はいいけどストーリーがいまいち」というような評価をすると思います。
​この区分を用いると、なんとなく使われているこういった言葉もきちんと整理して理解できます。

​「どんな表現にまつわる要素でも」というのは、明確に言葉で語られるもの(オープニングやイベントシーン、エンディングムービーなど)だけなく、登場するキャラクターや街並み、音楽など、架空世界について何かしらの情報(知識)を伝えるものもすべて物語の描写要素と考えられる、ということでしょう。

​結論として語られるのは、ゲームは物語のシステムであるということです。
​背景ストーリー、カットシーン(イベントシーン)、登場するキャラクターやオブジェクト、会話内容、ゲーム世界の街並みや地形など、諸々の構成要素が組み合わさり、構成要素の総和以上のものが出来上がっています。


​また、当然のことながら、プレイヤーがゲームを理解する際にゲーム以外のものの助けを借りていることも語られています。

「ゲームにおける表現というものは、他の文化から孤立して存在しているものではない。ゲームの表現は、他の表現形態の物語のジャンルから引き出された約束事をあてにしている。(中略)ほとんどの場合、何らかの点でプレイヤーに馴染みのあるものだ。」(P230)

​「ゲーム世界の設定を理解するには、プレイヤーは、他の似たストーリーの知識をあてにする。」(P231)

​これらは当然ゲームに限って起こることではありませんが、受け手の作品に対するこういった理解の仕方はゲームにもあてはまるということでしょう。
: ゲーム研究 : 01:48 : comments(0) :
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