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『ルールズ・オブ・プレイ ゲームデザインの基礎(下)』 要約その2 第23〜24章
『ルールズ・オブ・プレイ ゲームデザインの基礎(下)』
著者: ケイティ・サレン、エリック・ジマーマン
訳: 山本貴光

 
1.ユニット3 第23章 経験の遊びとしてのゲーム(P35-67)
この章では「ゲームがどのようにしてプレイヤーの経験を作り上げるのかを具体的に検討する」(P35)とありますが、いくつかのゲームを例に、プレイヤーがどんなことを考え、何を判断しているかを一般論的に整理したに過ぎず、特に目新しいものはありません。
最低限今後必要になりそうな部分だけ書き留めましょう。


​ブライアン・サットン=スミスの『文化としてのオモチャ』からゲームの経験における5つの要素を引用しています。

​・視覚による精査ー視覚、特に一度に画面全体を精査すること。
​・聴覚による識別ーゲーム中の出来事と合図を聴きとること。
・筋肉の反応ーゲームを操作する際にプレイヤーが行う身体行動。
・集中ー遊びに対して強く集中すること。
・学習の知覚傾向ーゲームそのものの構造を知るようになること。
(本書P37-38より)

​「サットン=スミスの五つの分類は、初期の一人用コンソールゲームの経験についてはうまく説明しているが、ゲーム全般をきちんと包括的に扱うわけではない」(P39)とあるように、これはシングルプレイのデジタルゲームについての説明ととらえるべきでしょう。
「インタラクティヴィティ」の章で扱ったプレイヤーの選択の過程を経験図式から整理するとこのような形になると考えられます。


​プレイヤーの経験を形作る要となっているものが「中核となる仕組み」であるといいます。
「中核となる仕組み」とは、「その遊びにとって要となる行為のこと」(P42)です。それはゲームの中で何度も何度も繰り返されます。
​『鬼ごっこ』であれば走ることと追うこと、一般的なSTGであれば回避と射撃(敵を撃ち落とす)、といった具合。


 
2.ユニット3 第24章 楽しみの遊びとしてのゲーム
この章では「楽しみ」「楽しさ」という観点からゲームを分析します。
​最初の問いは、なぜ人はゲームで遊ぶのか(何を目的に遊ぶのか)、です。
 
「ゲームとは非常に自己目的的なものであるということは明らかだ。」(P77)
「ゲームで遊ぶ誘因の一部は、ただ遊ぶことであり、しばしばそれが第一の動機の源になっている。」(P77)
「ゲームはたいへん強力な自己目的の要素があるため、ゲームはほとんどの場合、非実用的である。」(P77)
「人は、ある程度、遊ぶことを自体を目的としているのである。」(P78)

​長年ゲームで遊ぶことにどんな価値があるのかを考えてきましたが、これらはそれに対する一つの答えでしょう。
ゲームがうまくなることの価値についても同じくらい考えましたが、それを考える上でも土台になりそうです。


​良いゲームというのはプレイヤーに時間を忘れさせ、ひたすら没頭させますが、それを分析するために「フロー状態」という概念を整理・考察します。

「フローとは、なによりも人がやり遂げたという感覚や達成感を懐いたり、自分の存在感をいっそう強く感じる際、幸せに集中し没頭した感情や心理の状態である。」(P89)

「フローが、ゲームだけに適用されるということではないし、ゲームであればなんであれ、プレイヤーにフロー状態を生み出すということでもない。要するにゲームは、フローを作り出す最たる活動の一つだということだ。」(P92)

「フローの八つの構成要素のうち以下の四つは、フロー状態の効果を述べたものだ。
・行動と自覚の融合
・集中
・自分の存在感の喪失
​・時間の変質」
(P92)

​「〔以下の四つは〕フローの効果というよりは、フローの前提条件を表したものだ。
・困難な活動
・明確な目標
​・明確なフィードバック
​・不確かな状況で制御するという逆説」
(P93)

​「プレイヤーにフロー状態を作り出したければ、助言は一言にまとめられる。意味ある遊びをデザインすることだ。」(P93)
「フローは精神状態であり、意味ある遊びはゲームデザインへの取り組み方だ。」(P93-94)
「フローであるということは、その活動に豊かで意味のある参加をしていることを表している。」(P94)
「あらゆるフローを結び付けているのは、当事者が経験する最高の幸せである。」(P94)

​引用の通り、フローはゲーム固有のものではなく、ゲームプレイヤーが幸運にも到達することができた精神状態であり、あくまで状態を言い表した言葉です。
​言うならばゲームで遊ぶことによってフロー状態を作り出せるということがはっきりしただけで、その仕組みを説明したものではありません。
そのため、本書ではゲームデザインのための数ある道具の一つとして扱われます。
​フロー状態が生み出せていれば(少なくともある程度は)良いゲームと言える、といった具合です。

次に考察されるのが、プレイヤーがゲームで遊び続けられる理由。
特に、​同じゲームを何回も遊んでもやっぱり楽しい、という経験は誰にでもあると思いますが、以下はそれに対する回答のようなものです。

『プレイヤーがその空間を通ってゆく経験の道筋は、そのゲームで遊ぶつど変わる。ゲームのルール、その形式構造は固定したままであるにもかかわらず、ゲームの遊びはそのつど唯一のものとなるのだ。ゲームのこうした性質、つまりゲームが毎回同じ一貫した構造を提供するものでありながら、遊ぶつど違う経験と結果になることこそが、遊びを維持し、促す強力な原動力なのである。この考え方を、手短に「同じなのに違う」と呼ぶことにしよう。』(P97)

同じゲームを繰り返し遊んでも楽しめることの端的な理由をあらわしています。
​「ゲーム理論」の章で見てきたように、無数とも言える可能な選択によって経験を生み出すメディアだからこそできることでしょう(腑に落ちない人は決定木を思い出してください)。


​次に考察されるのはゲームにおけるプレイヤーの目標です。

​「ゲームの楽しさを理解しようという場合、目標は疑う余地なく重要な役割を演じる。」(P102)

「大局的な水準でのゲームの楽しさがプレイヤーの目標追求だとしたら、局所的な水準は、プレイヤーが中核となる仕組みに取り組むことである。そうだとしたら、この二つの遊びの水準をつなぐのは何か。それは短期目標だ。」(P104)

ここでの「目標」はごく一般的な意味です。
最終目標とはゲームのクリアですが、短期目標には様々あり、アイテムを手に入れる、レベルを上げる、ダンジョンを攻略する・・など色々あります。
そういった最終目標や短期目標へとプレイヤーを向かわせる仕組みを分析するため、​心理学の行動理論から「オペラント行動」の理論を借りています。

「オペラント行動(中略)とは、(中略)ある行動に対して、それを促すような刺激が与えられることで、その行動の頻度が高まる現象を指す。」(P109・脚注)

​ラットの実験を例に、オペラント行動における「刺激」が説明されています。
​正の強化:行動に対する肯定的な報酬
負の強化:不快なものを取り除くという意味での報酬
罰:行動に対して不快さを与えること

それぞれ、ゲームにおける実例を見てみましょう。
​正の強化:ボーナス得点をもらう、残機が増える、アイテムがもらえるなど
​負の強化:状態異常の回復など
​罰:敵にダメージを与えられる、残機を減らされる、装備が初期状態に戻る、ステージの最初に戻されるなど

こういった具合に分類できると思います。
​少し例を考えただけでも、いかにゲームが報酬(正の強化・負の強化)と罰を巧みに使い分けているかが理解できると思います。


​「報酬」に着目し、それを更に類型化すると以下のようになります。
​(ニール・ハルフォード、ハナ・ハルフォードによるもの)

・名誉の報酬:マップの踏破率を100%にする、高難度な実績を解除するなど
​・維持の報酬:各種の回復薬、弾薬などゲームにおける資源
​・アクセスの報酬:新しいエリアの開放、そのための鍵など
​・能力の報酬:プレイヤーキャラの新しい運動能力や機能など
​(P111-112より抜粋・加筆)


これらの報酬は周期によってプレイヤーに与えられます。これを「強化スケジュール」と呼びます。
強化スケジュールには固定した強化と変動する強化があります。

仝把蠅靴振化:「報酬や罰が、安定して継続的な比率で生じるということ」(P113)
 固定比率:「行動が何回か取られるごとに結果が生じるということ」(P113)
​ 固定周期:「強化と強化のあいだにある一定時間のこと」(P113)
​ 例)オンラインゲームにおけるログインボーナスなど。

∧册阿垢覿化:「報酬と罰は不規則な周期でやってくる」(P114)
 変動比率:「不規則な周期をおいて結果が生じるということ」(P114)
​ 変動周期:報酬と罰がランダムな時間の周期で生じること
 例)オンラインゲームのガチャやスクラッチの景品など。


​この章ではゲームがプレイヤーに楽しさを与える仕組みを分析してきました。
とりあげられたそれぞれの概念はやや厳密さには欠けますが、レビューから評論に一歩近づくための基礎にはなってくれそうですね。
: ゲーム研究 : 20:23 : comments(0) :
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