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『ルールズ・オブ・プレイ ゲームデザインの基礎(上)』 要約その14 第20〜21章
『ルールズ・オブ・プレイ ゲームデザインの基礎(上)』
著者: ケイティ・サレン、エリック・ジマーマン
訳: 山本貴光

 
1.ユニット2 第20章 対立のシステムとしてのゲーム(P509-542)
この章では、ゲームを「対立」という側面から分析します。「対立」は本書でのゲームの定義にも含まれていますね。
それはプレイヤー対プレイヤーという形だったり、プレイヤー対AIという形だったり、一対多、多対多など色々な形を取ります。
特定の側面から改めて定義を振り返るような章であり、実質ほとんどがゲームの定義についての復習的内容です。
必要な部分を書き留める程度にとどめましょう。

「対立は、あらゆるゲームに本来具わっている要素だ。ゲームにおける対立は、プレイヤーがゲームの目標を達成しようと苦闘する魔法円の中で生じる。」(P541)
そのような対立(競争の仕方)には以下のような種類があります。
 
・一対一
・集団対集団
・一対多
・全プレイヤー同士(マルチプレイFPSにおける非チームのデスマッチなど)
・一人のプレイヤーがゲームシステムと競う(一人用パズルゲームなど)
・個々のプレイヤーがゲームに対して並んで競う(フィギュアスケート、体操など個々に判定・評価を受けるもの)
・プレイヤーの集団がゲームに対して協力する(いわゆるCOOPゲーム。L4D、Killing Floorなど。)
(P510から抜粋、()内は加筆)
 
次が「協力」です。
 
協力には2種類あり、それぞれ「システムによる協力」・「プレイヤーの協力」と呼ばれています。
 
システムによる協力:あらゆるゲームで生じる、魔法円をともに維持しようとする心構えのこと
プレイヤーの協力:いわゆる協力プレイやCOOPでのプレイヤー同士の関係。プレイヤー同士が協力してゲームにおける目標を達成しようとすること。

 
2.ユニット2 第21章 ルールを破るということ(P547-586)
「ここまでのところ、ゲームのプレイヤーをおおむね素朴に描いてきた。つまり、プレイヤーというものは、みんなマジメで注意しながら正直にルールに従って遊ぶ、と仮定してきた。多くのプレイヤーについてはこれで捉えているとしても、これで全員を押さえているわけではない。」(P547)
 
本章では、このような問題設定のもとにプレイヤーの類型を分析します。
類型を要約するとおおむね以下のようになります。
 
”現狹なプレイヤー: 正直でルールにしっかり従う一般的なプレイヤー。
 
凝るプレイヤー: ルールに従いながら、珍しい戦略や有効な戦略を発見したり編み出したりするプレイヤー。明記されたルール、暗黙のルールともに尊重するが、勝ちへの近道をすること、劣化戦略の使用にはためらいがない。言うならば、勝ちに強いこだわりと執着を持つ上級者。
 
8搬なプレイヤー: 反則にならない程度に、ルール破りのぎりぎりを攻めるプレイヤー。劣化戦略は当然使い、さらに暗黙のルールなどにつけ込んで優位に立とうとする。
 
い瓦泙し屋: ゲームに勝つためこっそりルールを破るプレイヤー。マルチプレイゲームにおけるチートの使用者など。

ニ験臆亜А,發呂篷睨 ̄澆涼罎砲呂い覆ぅ廛譽ぅ筺次ルールを守ることにも勝ち負けにも興味がなくただ邪魔をする。

 
◆Νを見ていきましょう。
このタイプのプレイヤーは劣化戦略を構わず使うという点で共通しており、近しい位置にあるといえます。
劣化戦略は一般的に取り除かれるべきものですが、逆に、ゲームの可能性の空間を押し広げる場合もあるという例もあるようです。
対戦ゲームの場合、劣化戦略に対する対策をユーザー自身が発明することがあります。
それ以外にも、劣化戦略が発見されたことでゲームのバランス調整がほどこされるなどの場合も。
 
「ゲームデザインを、過程にあるデザインだと考えることは素晴らしい。つまり、デザインは、時を経て成長・発展し、変わりゆく要望や編み出される戦略に対して、そのつど新たな対応をし続けられるのである。」(P562)
 
これは主にアナログゲーム全般、デジタルゲームであればマルチプレイのゲームに当てはまる言葉です。
アナログゲームにはほとんどの場合ローカルルールやルールのバリエーションがあります。
マルチプレイのゲームでは、見つかった劣化戦略などに対してゲームバランス全体が調整・修正されることがあります。
凝るプレイヤーや姑息なプレイヤーが発見する劣化戦略は、ときにゲームの可能性の空間を押し広げることがある、ということでしょう。
 
それと関連して、ルールに禁止事項が明記されている場合に起こる独特の現象が解説されています。
例としてあげられているのはスポーツにおけるファウルです。
退場させられるリスクを受け入れ、わざと相手チームの優秀な選手にけがをさせ(肘を入れたり足をかけたり)、その後のゲームに出られなくしてしまうなどの行動。また逆に、相手にファウルをなすりつけるためにわざと腕や足をぶつけられるよう動くなどの行動。
世界大会など、凝るプレイヤー(≒姑息なプレイヤー)同士が多く集まる場合にはそこまで珍しくない光景かもしれません。
本来、禁止事項の明記は魔法円を壊そうとするプレイヤーをゲームから締め出すためのものですが、それを明記することによって、皮肉にも一種の劣化戦略として使われてしまうわけです。
 
こういった例からは、ゲームはいつでも理想的な状態で遊ばれるわけではないということがわかります。
そのため、主に対戦型のゲームでは、ルールが定期的に修正・調整されるのでしょう。

 
次に、デジタルゲームにおけるルール破りが考察されています。ルール破りは何もアナログゲームだけにあるものではありません。

まずは「隠し要素」と「チートコード」です。
 
「隠し要素」として想定されているのは、特定の条件を満たすことで表示される開発者からの秘密のメッセージだったり、普通にプレイしていては見つけられない強力なアイテムなどです。これをルール破りの一例としてあげていることは正直あまり納得いかないのですが(※)、ひとまず「チートコード」とは分けて考えられています。
※著者自身、「隠し要素は、普通、ゲームの戦略的な遊びに影響しない」(P575)と述べています。
 
次に「チートコード」。例として紹介されているのは『DOOM』における無敵コマンドです。
裏技と言った方が良いでしょうか。あらかじめシステム内に組み込まれたものを指します。
反対に、ゲームの外部ツールを利用したルール破り(不正)は「ハック」と呼ばれています。

 
ちょっと余談。
ルールとルール破りの関係から見るに、裏技・チートコードの存在は興味深いものです。
ゲームを最も細分化して見た場合、個々のルールに行き着くわけですが、システムの中に本来のルールを無視する仕組みがあらかじめ組み込まれているわけです。
裏技が組み込まれたゲームは別に珍しくありませんし、裏技でなくともクイックセーブやクイックロードなどの本来のルールを大きく捻じ曲げうる仕組みが多くのゲームに組み込まれています。
そういった機能をどの程度利用するのかはプレイヤーに委ねられています。いわば、そういった機能をどの程度利用しないかが一つの目標になるわけですね。
 
本書でのゲームの定義において、プレイヤー自らが目標を見つけてプレイする『シムシティ』や各種のMO、MMOが境界例として紹介されていましたが、そういったゲームに限らず、プレイヤーが自ら目標設定する、遊び方を決めるということは多くのゲームで見られます。

 
上巻は以上です。
次回から下巻に移っていきますが、その前に上巻のまとめを投稿するかもしれません。
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