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『ルールズ・オブ・プレイ ゲームデザインの基礎(上)』 要約その13 「ゲーム理論システムとしてのゲーム」
『ルールズ・オブ・プレイ ゲームデザインの基礎(上)』
著者: ケイティ・サレン、エリック・ジマーマン
訳: 山本貴光
今回の要約範囲: ユニット2 第19章 ゲーム理論システムとしてのゲーム(P473-504)


ここでは「ゲーム理論」を用いてプレイヤーの意思決定の過程を考察します。
 
「ゲーム理論は、合理的な意志決定を研究する経済学の一分野だ。」(P503)とあるように、ゲーム理論で言うゲームは本書で扱っている遊びとしてのゲームとは意味が違います。

ゲーム理論におけるゲームとは、いわばルールの集合体というようなものであり、遊びとしてのゲームだけでなく、社会現象や政治現象などにも応用されるようです。
そういったルールの集合体の中でのプレイヤーが取りうる選択は、「決定木」という樹形図のような形で図示されます。
 
「決定木を作ることは、ゲームの形式構造を理解する強力な手段になりうる。決定木は、本質的にゲームの形式的な可能性の空間の全体像を描く手段である。(中略)ゲームやその他のやりとりのある構造物について、決定木を作れるのは、そこに参加する人の下す決定が互いに不連続であり、その結果を知りうるような場合だ。例えば、アメリカンフットボールのような身体能力にも関わるゲームは、『三目並べ』のような手番を交代するゲームとは違って、図示できるような、それ自体で完結した意思決定の時点というものがない。」(P478)
 
要はリアルタイムで行われるゲームには直接適用できないということですね。
決定木を使って図示できるゲームのタイプが以下のようにまとめられています。
 
・ゲーム中の時間が、手番、もしくは、その他の離散的な単位で進む。
・プレイヤーは、限られた数の明確な決定を下し、それと分かる結果が伴う。
・ゲームが有限である(永久には続かない)
(P479より引用)
 
プレイヤーが取りうる選択を余すところなく記載する決定木は、当然膨大な量になります。
常識的な範囲で考えるならば、比較的単純なゲームでしか完璧な決定木を作ることはできないでしょう。
 
「パウンドストーンによれば、『チェス』の決定木が、判読できる大きさで紙の上に書かれたら、その図は太陽系の大きさになるという。」(P480)
 
そのため本書では、常に完璧な決定木を描くことよりも、実際に扱いやすい範囲で決定木を利用することが提案されています。
例としてあげられているのは、ステージ内での勝敗によってルート分岐するゲームです。
個々のステージや戦闘での1つ1つのプレイヤーの選択全てを決定木として図示するのではなく、ステージクリア、未クリア(条件達成、未達成)などの大局的な視点で扱えば、ゲームにとって有益な形で扱うことができるといいます。
 
「ゲーム理論ゲームは、合理的なプレイヤーから構成されている。このプレイヤーたちは、ある結果を達成するための戦略を同時に示す。その結果とは、厳密に効用で定義できるものだ。たいていの場合、ゲーム理論は二人プレイヤーのゲームに限られる。」(P485)
 
合理的なプレイヤーとは、完璧に論理的・合理的に思考し、戦略にしたがってプレイするプレイヤーのことです。
効用とは、プレイヤーの、ゲームの結果や達成したいことに対する満足度を数値化したものです。
 
このようなゲーム理論におけるゲームについて、本章では「ケーキの分け方」という例があげられています。
まず、二人の子供がケーキを半分こして食べるという状況を想定します。
ここには、自分がより大きい方のケーキを食べたいという利害の対立があります。
しかし、どちらの子供がケーキを切ったとしても、お互いより大きい方のケーキを取ろうとすることが目に見えているため、最も正確に等分することを目指し、選ぶときはほんの少しでも大きい方を選ぶことが最良の戦略ということになります。

これはゲームの「解」、「鞍点」と呼ばれるものです。
 
「ゲーム理論によれば、有限、ゼロサム、二人プレイヤーのゲームには、必ず解(そのゲームの適切なプレイの仕方)があり、合理的プレイヤーであれば、必ずその戦略を取る。」(P494)
 
ゼロサムとは、一方の利益が他方の損失とイコールになっていることを指します。
 
「鞍点という概念は、ゲームデザインにとってもたいへん重要である。一般に、歯石のようなもので、取り除きたいもの。思い出そう。鞍点とは、ゲームの最適解だ。一度プレイヤーが、それを見つけたら、わざわざ他のやり方をする必要はなくなってしまう。」(P496)
 
鞍点はいわゆる劣化戦略(システムやルールの不備を突いてゲームを安易にクリアしてしまうこと)を生み出しやすく、多様なゲーム経験が得られなくなる原因ともなります。

本書における(難易度やゲームバランスの面からみて)よく調整されたゲームとは、最適解がなく、多様な戦略がそれぞれ一長一短になっているものでしょう。


​以下は本章で扱っているゲーム理論、鞍点などの定義からそれるため完全な余談です。
 
最適解が問題視される場合、ということで個人的にパッと思い浮かんだのはマーク携妊▲侫拭璽弌璽福次
このゲームには有名な劣化戦略があり、自機を一番左下に寄せておけば十数面まで攻撃を一切受けず、自動的に進めてしまうといった具合。
ステージが切り替わっているのにも関わらず、解が全く一緒であるということです。しかも割と簡単に見つけられてしまう。
 
しかし最適解が問題にならない場合もあるでしょう。
例えばSTGにおいて、いわゆる「安置」があること自体がゲームの不出来・不備として語られることは多くないように思います。
『R-TYPE』や『雷電』といった名作STGにも安置はありますが、問題視するような意見はあまり見たことがありません。

上記のマーク携妊▲侫拭璽弌璽福爾箸琉磴い鮃佑┐襪函安置を探すこと自体が大変であったり、ボスごとに場所が全く違ったりと、繰り返しプレイする中で最適解を探せるようデザインされているからでしょう。
安置は高難度に対する救済措置でもあります。ただ、これはシングルプレイのゲームだから問題にならないのであり、対戦型のゲームで鞍点が見つかってしまうと皆同じ行動を取るようになってしまうでしょう。
マルチプレイのゲームに定期的にバランス調整が入るのも頷けますね。
: ゲーム研究 : 23:20 : comments(0) :
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