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『ルールズ・オブ・プレイ ゲームデザインの基礎(上)』 要約その12 「サイバネティックシステムとしてのゲーム」

『ルールズ・オブ・プレイ ゲームデザインの基礎(上)』
著者: ケイティ・サレン、エリック・ジマーマン
訳: 山本貴光

今回の要約範囲: ユニット2 第18章 サイバネティックシステムとしてのゲーム(P439-468)

 

この章では、自己調整システムを研究する学問分野「サイバネティクス」を用いてゲームを考察します。

まず、自己調整とはどんなものでしょうか。

 

「サイバネティクスでのシステムの概念は、(中略)入力と出力のやりとりに基づいている。入力とは、そのシステムが、どのように環境をモニターしているかということである。つまり、入力によって、環境からシステムへ影響を及ぼせるようになるのだ。出力とは、システムがどのように行動をとるかということである。つまり、出力とは、システムがどのように環境に影響するかということである。こうした環境とシステムのあいだで行き来する交換を通じて、時間の経過とともに、システムは変化してゆくのだ。」(P440-441)

 

まとめると、サイバネティクスとは、環境から何らかの入力を受け取り、それに応じた出力を返し、環境へ何かしらの影響を及ぼすようなものです。

そのようなサイバネティクスの要素を持つシステム(サイバネティックシステム)には「感知器」「比較器」「実行器」という3つの要素があるといいます。

 

感知器:「環境やシステムの内部状態について、何事かを感知する」(P441)

比較器:「感知器の記録の結果、システムを変化させる必要があるか否かを決める」(P441)

実行器:「変化を生じさせる」(P441)

 

これらを備えたもの、システムのわかりやすい例として冷房があげられています。

冷房の場合、まず温度計・センサー(感知器)が室温を測り、内部のプログラムが室温と設定温度の差を比較し(比較器)、設定温度よりも高い室温を検知した場合は冷風を出す・強める(実行器)といった具合です。

一定時間が経てば当然室温は下がっていき、感知器が感知した室温は(比較器によって)設定温度と一致したことが確認され、実行器は冷風を止めるか弱めるかするでしょう。

こうした一連の流れから、サイバネティックシステムはフィードバックシステム、フィードバックループとも呼ばれます。

 

そのようなフィードバックには正と負があります。

 

正のフィードバック:実行器が環境に与える影響が増すように仕向けるフィードバック

負のフィードバック:実行器が環境に与える影響が一定になる、あるいは安定するように仕向けるフィードバック

 

先ほどの冷房は当然負のフィードバックです。

 

こういったフィードバックシステムをゲームにあてはめて考察したマーク・ルブランの理論が引用されています。

ゲームにおけるフィードバックループは以下のようになっているといいます。

 

ゲーム状態 ⇒ 得点機能 ⇒ コントローラー ⇒ ゲームの仕組みによる偏り ⇒ (ゲーム状態 に戻る)

 

ループがどこから始まるのかは問題ではないのでこの際無視してください。

それぞれの用語を確認しましょう。

 

.押璽狆態

「任意の瞬間におけるゲームの現状」(P447)

例えば対戦ゲームであれば、対戦者同士の体力ゲージはどのくらいか、残り時間は何秒か、現在のラウンド数、使用されているキャラクターは何か…などが現在どうなっているか。プレイヤーの主観的な経験・体験は考慮されず、あくまでゲームの内部的・形式的な面での現状です。

 

得点機能

「システムの感知器であり、ゲーム状態のある側面を測る」(P448)

感知器なので、冷房でいうところの温度計にあたります。

本文に解説が少ないので定かではないですが、おそらくスコアの他、(上記の対戦ゲームの例で言うと)体力ゲージやラウンド数、残り時間といった要素も含まれるのだと思います。

 

コントローラー

「比較器であり、感知器の記録を調べて、行動するか否かを決める。」(P448)

コントローラーそのものというよりは、コントローラーとそれを握っているプレイヤーでしょうか?

相手と自分の体力ゲージや残り時間を見ながら、次にどんな手を使うか判断するため、まさに比較器と言えます。

 

ぅ押璽爐了伝箸澆砲茲詈个

「実行器であり、比較器の決定に従ってオン/オフできる、ゲームの出来事である。」(P448)

レースゲームにおける、いわゆるブースト機能(後続車、周回遅れ等の遅いプレイヤーの車の速度が自動的に上がる)などがこれにあたるでしょうか。

 

 

「ゲームをサイバネティックシステムとして考察する際、必ずしもゲーム全体を一つのフィードバックシステムとして捉えなくてもよいことにはぜひとも注意しよう」(P448)とあるように、ゲーム全体がフィードバックシステムというわけではありません。

フィードバックシステムは、あくまでゲームの一部分に組み込まれ、利用されている機能だということです。

 

負のフィードバックから例を考えましょう。

 

例えばSTGのランク調整(自機のパワーアップ度合い・残機数などに応じて難易度が変化する仕組み。本書では「動的な難易度調整」と呼ばれます)や、マルチプレイFPSにおける自動チームシャッフル(スコアの高いプレイヤーとスコアの低いプレイヤーが均等になるようチームメンバーを入れ替える)、レースゲームのCPUがプレイヤーの順位に合わせてうまくなったり下手になったりする、などがこれにあたります。

負のフィードバックは、腕の良いプレイヤーが緊張感をもって最後までプレイできるようにし、反対に腕の悪いプレイヤーへの救済措置になっています。ゲームの状況を安定に向かわせることで、結果をより不確かなものにしているのです。

 

正のフィードバックも同じくらいの頻度で利用されており、例えば格ゲーで、連続で攻撃を与えた(受けた)際に起こるピヨり(スタン)、あるいは追い打ち攻撃などがそれです。

 

「正のフィードバックシステムは、本来不安定で、ゲームシステムを決まった結果へと向かわせる。そこで、たいていは、そのフィードバックループの加速を制限するような、ほかのゲーム要素によって働きを鈍らせてある。」(P456)

 

バーチャロン(オラタンとフォース)におけるダウン攻撃について考えてみると、ダウン時は攻撃が1発しか入らないようになっており、なおかつダメージも立ち状態と比べてかなり少なくなっています。

「ほかのゲーム要素」というのはこのようなルール上の制約であったり、他のフィードバックループであったりします。

 

 

最後に、正のフィードバック、負のフィードバックがゲームにもたらす影響について引用し、今回は終わりたいと思います。

以下、P468から引用。

 

・負のフィードバックはゲームを安定させる。

・正のフィードバックはゲームを不安定にさせる。

 

・負のフィードバックは、ゲームを長引かせる。

・正のフィードバックは、ゲームを終わらせる。

 

・正のフィードバックは、成功を速める。

・負のフィードバックは、成功を遅くする。

: ゲーム研究 : 11:54 : comments(0) :
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