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【レビュー】 SYSTEM SHOCK 2 - 息が詰まるような閉塞感が特徴の探索型SFホラーFPS

『SYSTEM SHOCK 2』

 

開発元: Looking Glass Studios & Irrational Games
発売年: 1999
価格(レビュー時点): ¥980 (STEAM) / $ 9.99 (GOG)
販売ページ (STEAM / GOG
対応ハード: Win・Mac・Linux
ジャンル: FPS・ADV
世界観・ストーリー: SF・サイバーパンク・ホラー
日本語対応 (レビュー時点): MODにより可

 

レビュー時点のプレイ状況: NORMALでクリア済
クリアまでのプレイ時間: 20時間程度

 

ページ内ネタバレ要素: なし

 


1. 概要

FPSをベースに、探索ADVとRPG的な成長・強化要素を掛け合わせたようなルールを持つSFホラー作品です。
実質的にBIOSHOCKの前身と言える作品であり、多くの共通点(上記のルール要素や閉塞的な世界観、オーディオログを中心とした断片的なストーリー情報供給など)を持っています。

宇宙船内のみを舞台とした、息が詰まるような閉塞感とダークな雰囲気、シビアな資源管理から生まれる緊張感が大きな特徴です。

 


序盤は弾数がかなり少なく、レンチでの戦闘がメイン。他の作品と比べると振りがかなり遅く、コツが要ります。

 

 

2. ルール・挑戦課題 (ゲームシステム)

ルールと挑戦課題は、キャラクター強化・成長要素を含んだFPS系の戦闘と、ADV的な謎解き・探索によって構成されています。なお、セーブは使用場所や回数などの制限がないオーソドックスな作りです。

 

 戦闘要素

戦闘は一般的なFPSをベースに、アイテムのやりくりを組み合わせたものです。


レンチ等の接近戦武器、ピストルやショットガンなどの銃火器、Psi(超能力)を使い分けながら、サイボーグやクリーチャーと戦います。この時期のFPSとしては珍しくリーン(覗き込み動作)が可能です。(さすがにADSや伏せはありませんが)
銃は使用する弾薬や発射モードを切り替えられるようになっており、撃つごとに耐久度が下がっていく仕組みです。他のゲームと比べると耐久度低下がかなり極端で、こまめな修理が欠かせません。


敵は、種類よってダメージの入りやすい弾薬や武器カテゴリが大きく異なっています。また、監視カメラや自動機銃などの設備系のものを除いて無限に再配備される仕組みになっており、完全に安全な場所はほぼ存在しないと言っていいでしょう。遠距離攻撃ができるほとんどの敵は反応速度が異常に速く、こまめなセーブが必須になるシビアなバランスです。


回復薬や弾などは拾得の他、通貨(Nanites)を利用して、あちこちに設置された自動販売機(Replicator)から買うこともできます。

 

 キャラクター強化・成長

ゲーム開始直後に職業選択があり、武器の扱いに長けたMarines、ハッキング能力に長けたNavy officers、Psi(超能力)に長けたOSA agentsの3つから選ぶことになります。


プレイヤーキャラの能力は、基本的な身体能力を決めるStatistics、修理やハッキング能力を左右するTechnical、武器の装備の可否や威力を決めるCombat、超能力のPsiの4つにカテゴリ分けされており、Cyber moduleというアイテムを使って各パラメータを強化することができます。


成長要素はゲームを有利に進めるためだけでなく、どちらかというと進行のために必須の要素です。例えば、初期状態では武器はレンチくらいしか装備できず、そのままでは監視カメラ(捕捉されるとしばらくの間敵が大量出現します)の破壊すらままなりません。


強化に必要なCyber moduleは拾得や目標達成時の報酬として得ることができますが、数が限られるため、どのパラメータに割り振るかを考えながら使うことが一つの挑戦課題になっています。
また、プレイヤー以外に武器も性能強化(Modify)が可能です。

 

 謎解き・探索

いくつかのエリアに分かれた宇宙船内を行き来しながらキーアイテムを探したり、拾ったオーディオログからパスコードを見つけ出すなど、探索ADVに接近した作りになっています。
“行き来”がポイントですね。一般的なFPSでもキーアイテムを拾う、仕掛けを動作させるといった程度の要素はありますが、本作は複数のエリアを自由に行ったり来たりしながら、指示された目標をこなしていくことでゲームが進行します。


オートマップはあるものの、次の目標地点を示してくれる便利なコンパスなどはなく、あくまでオーディオログや指示内容から自分で探っていくことが求められます。


また、ハッキングは攻略に必須の要素ではありませんが、Replicator(自動販売機)の品揃えを切り替えたり、ハッキング以外では開くことのできないコンテナを開ける、アイテム部屋に侵入する、監視カメラや自動機銃を一時無効化するなどのことができます。

 

監視カメラに捕捉されると、一定時間大量の敵がやってきます。一度見つかるだけで大ピンチです。

 

キャラクター強化のための端末。何にどれくらい、どのタイミングで割り振るかが攻略の要。

 

アイテム画面拡大図。所持できるアイテム数は制限が厳しく、使わないアイテムは捨てる勇気も必要になります。

 

マップ画面は全体表示するとこんな感じ。ないよりはずっといいですが、正直見づらいです。

 

復活装置。起動しておくと、ゲームオーバー時にこの装置がある位置で自動復活できますが、Nanites(通貨)を少し取られます。2周目以降などやり込みプレイの場合はセーブを縛って復活装置のみを使ったプレイもありかも?

 


3. フィクション要素 (ストーリー・世界観・雰囲気・音楽)

サイバーパンクとSFホラーを掛け合わせたような世界観です。
主人公が対峙するのは、前作に引き続き登場する不気味な女性型AI「SHODAN」や、人体改造を施された不気味な機械人間、正体不明の生命体集団「The Many」といったもの。


ゲーム空間はほぼ宇宙船内のみであり、かわり映えのしない景色が逃げ場のない閉塞感を強めています。
プレイヤー以外の人間との接触はほぼ通信に限られ、生きている人間に会うことはごくまれです。精神的後継作であるBIOSHOCKではリトルシスターの存在がある程度プレイヤーを和ませていたと思いますが、本作にそういった存在はなく、全編通して実に孤独です。


逃げ場のない空間で展開されるSFホラーという軸で考えていくと、雰囲気としてはサターンの名作ADV/TPS『DEEP FEAR』などもやや近い作品かもしれません。(あっちは登場人物いっぱいいるけど)
数あるSF系FPSの中でも相当にダークな雰囲気だと言えます。ガチガチのホラーではないものの、息が詰まるような閉塞感や緊張感に飢えている人には全力でおすすめできる作品です。

 

ストーリーは前作『SYSTEM SHOCK』の42年後である2114年で展開されます。プレイヤーは主に通信とオーディオログからストーリー情報を得、ゲームの舞台である宇宙船(Von BraunおよびUNN Rickenbacker)で何が起きたのかを頭の中で組み上げていく必要があります。

 

音楽はSF感のあるトランス系の曲や、やや不穏な雰囲気のアンビエントを中心に構成されています。これといって特徴はないものの、雰囲気を作り上げる上でしっかりと役立っている印象です。

 

 

 

船内はほとんどの場所が薄暗く、閉塞感を強めています。陰影のつけ方がカッコよく、旧世代ながら迫力のあるグラフィックです。

 

クリーチャーの造形はなかなか不気味。

 

 

4. 特筆すべき点

息が詰まるような閉塞感・孤独感とダークな雰囲気、ADV的な探索の楽しさ、成長要素の取捨選択や、アイテムのやり繰りから発生する多様な攻略手段。このあたりでしょう。

 


5. 難点
 お世辞にも見やすいとは言えないオートマップ

画面右上にミニマップを表示しておけるのは良いのですが、全体図は小さくて見づらいです。設備を表すアイコンも字がほとんどつぶれてしまっていて判別できません。アイコン周辺に自分でメモを記入できるのはいいのですが・・。探索時は、マップだけでなく、頭の中に施設の構造をある程度入れていく必要があるでしょう。ただ、見ばえが大きく変わらない宇宙船内でそれを実行することは、僕のような方向音痴にとってかなり辛く、1つの目標を達成するために数時間迷うことが何度もありました。

 

 一部の無茶な謎解き

ネタバレになるため詳しくは書きませんが、ある場所のパスコードを入手するために、マップには表示されない(目視でないと確認できない)船内設備をチェックして回る任務があります。場所を絞り込むための手がかりがほとんどなく、広大なフロアを何度も何度も行き来するのはかなり無茶に感じました。調査対象のオブジェクトがマップに表示されないというのが一番の難点でしたね。アイコン表示さえされていればメモを書きながら1つ1つチェックできたでしょうし、それならば大変ながら十分楽しめたと思います。何のためのメモ機能なんだと。
おそらく、ゲームを進めていけば「ああ、これのことか」とわかると思いますので、ここに関しては攻略サイトのお世話になっても全く問題ないと思います。

 

 敵の無限再配備

倒しても倒しても一定時間でまた敵が配備されるために完全に安全な場所がなく、オーディオログなどを落ち着いて読むことが難しいです。文章量も多いため途中で読むのを諦めてしまいました。そのほか、謎解きで頭を悩ませているときなどに次々襲ってこられるとかなりイライラします。

 


6. 総評

相当に複雑なプレイヤーの成長要素をはじめ、ルール周りの敷居の高さはあるものの、何をどうすれば有利にゲームを進められるのかを自分で探っていく楽しみは何にも代えがたいものでしょう。(参考までに、僕はNORMALでプレイしましたが、シビアながらも詰んで進めなくなるということはありませんでした)


BIOSHOCKにハマった方はもちろんのこと、FalloutシリーズやS.T.A.L.K.E.R.シリーズなどのオープンワールド系FPSが好きな方や、探索ADV全般が好きな方には自信をもっておすすめできる作品です。


序盤は少し面倒に感じるかもしれませんが、頑張ってプレイすることで得られるものは無数にあります。

 

: ゲームレビュー : 09:27 : comments(0) :
【レビュー】 IMSCARED - ゲーム外にプレイ空間を広げた斬新すぎるホラーADV

『IMSCARED』

 

※ウィンドウ表示時の画像を拡大して掲載しているため、画像がボケています。本来はもっとシャープな画質です。

 


開発元: Ivan Zanotti's MyMadness Works

発売年: 2016

価格(レビュー時点): ¥398

開発元公式HP

販売ページ

対応ハード: Win

ジャンル: 主観視点 探索ADV

世界観・ストーリー: ホラー

日本語対応: なし (レビュー時点)


レビュー時点のプレイ状況: クリアおよび全実績解除済

クリアまでのプレイ時間: 6時間程度


ページ内ネタバレ要素: なし

 

1.概要(ゲームルール・システム・世界観・雰囲気・音楽など)

一見すると、レトロ風のグラフィックを用いたオーソドックスな主観視点型の探索ADV。

ですが、本作はメタ的な遊びを持ち込むことでゲーム空間を外部へ大きく拡張した斬新な作品です。


具体的には、ゲームをある程度進めるたびにデスクトップにファイルが生成されていき、そこから攻略に必要な情報等を得ることができます。そういったPC内の生成ファイルだけでなく、ときにはYoutubeで動画を見せられたりも(もちろんそれもまた攻略の手がかり)。

 

こんな具合。デスクトップに自動で専用フォルダが作成されます。中身をしっかり読むことが重要。


単にゲーム内を動き回るだけでなく、生成ファイルを逐次チェックし、ゲーム内・外で与えられた情報をフル活用して謎解きに挑むことが求められます。この、ゲームの内部と外部を渡り歩きながら頭をひねる一連の流れが何とも楽しく、まるで現実に起こっている謎に挑んでいるかのような奇妙なリアリティを生み出しています。


謎解きのレベルは少なくとも簡単ではありませんが、自分の力で解けたときの快感は何にも代えがたいものです。ぜひとも、自分自身の力だけで最後まで攻略していただきたいと思います。


その他の要素として存在するのが追いかけっこ的要素。敵キャラのグラフィック自体には何も怖いところはない(むしろかわいい)のですが、追い立てられる恐怖はなかなかのものです。

 

 

 

2.良い点・見どころ

ゲーム空間をデスクトップやブラウザにまで拡張したことにより非常に斬新な遊びが生まれている点。見どころはこれに尽きるでしょう。

今の時代、全く新しい体験を生み出すゲームを作り上げることは至難の業だと思いますが、本作はそれを見事に成し遂げています。

画面は地味ながら、最高に刺激的な作品であることは間違いありません。

 

思わず笑ってしまうゲーム内のブルースクリーン画面。ゲームを再起動しろと書いてあります。

※上述の通り、本来はもっとシャープな画質です。ウィンドウ表示から拡大しているため字がつぶれてしまっています。

 

画面だけ見ると本当に地味です・・

 

 

3.難点

さほどの支障にはならないものの、意図された強制終了なのかそうでないのかが区別しにくいことがあります。根気よくやりましょう。

 

 

4.おすすめしたい人

・とにかく斬新なゲーム体験に飢えている方

 

 

5.総評

現時点で日本語対応はされていないものの、プレイに支障があるような難しい表現はありません。

斬新さや刺激に飢えている人には全力でおすすめできる作品です。

プレイ時間がさほど長くないものおすすめできるポイント。

: ゲームレビュー : 02:36 : comments(0) :
【レビュー】 SILENCE OF THE SLEEP - 自殺を選んだ男の過去を解き明かす本格ホラーミステリー

 

『SILENCE OF THE SLEEP』

 

開発元: Jesse Makkonen

発売年: 2014

価格(レビュー時点): ¥1680 (STEAM)

開発元公式HP

販売ページ

対応ハード: Win

ジャンル: 探索ADV (サイドビュー)

世界観・ストーリー: ホラー・ミステリー・ダークファンタジー

日本語対応: なし(レビュー時点)

 

レビュー時点のプレイ状況: クリア済

クリアまでのプレイ時間: 9時間30分程度

 

ページ内ネタバレ要素: なし

 

 

1.概要(ゲームルール・システム・世界観・雰囲気・音楽など)

ゲームは主人公Jacobの自殺から唐突に始まります。

プレイヤーは彼とともに死後の世界とも思える不思議な空間を探索し、Jacobが自殺するに至った理由と、迷い込んだ世界についての謎を解き明かします。

サイレントヒル、THE CAT LADY、Downfallなどを思い起こさせるような、後悔や自責の念、人生を突如襲った不幸に対する葛藤といった、人間精神の負の部分を正面から描いた作品です。

 

ルールは、時折現れる化け物をやり過ごしつつ、アイテム収集と謎解きといったオーソドックスな要素をこなしていくことが中心になります。

謎解きの難易度がやや高め。

 

 

 

2.良い点・見どころ

まず目を引くのは切り絵アニメーションのような幻想的なグラフィックでしょう。

The Cat Ladyなどもそうですが、こういった遠近感の欠けた表現は不条理な異世界を描写するのにぴったりだと思います。エフェクト類もかなり凝った印象で、雨や光の表現がとても美しいです。

アコーティック寄りの陰鬱で美しい音楽もまた、世界観をよく引き立てています。

 

Jacobの心理や人となりについての描写はやや薄味ながらも、緊迫感のあるシナリオからは最後まで目が離せないでしょう。

 

ぼんやりとした光の描き方が本当に美しい。

 

古風でしゃれたステージデザイン。アナログ風の質感が素晴らしい。

 

グロテスクながら、やはり切り絵アニメーションのような幻想的な美しさに目を奪われる。

 

唐突に現れる謎のバーテンダー。この世界の案内人のように思われるが・・果たして?

Jacobがなぜこの世界にとらわれているのか、それを解き明かすよう促します。

 

 

3.難点

謎解き自体がなかなか難しい部類であることと、敵に追われつつ隠れつつの探索が中心になるため、落ち着いて考えられないことが難点です。各マップがさほど広くないのが唯一救いでしょうか。

敵は隠れ場所さえあれば難なくやり過ごすことができますが、探索に集中させてもらえないストレスは大きいです。

敵の挙動が遅い分、隠れ場所で待たなければならない時間が長いこともストレスの原因になっています。

 

ルールのわかりにくいミニゲームが唐突に始まる点もマイナス。

シナリオを楽しむことに集中させてほしかったですね。個人的には、詰まったときは躊躇せず攻略動画等に頼ることをおすすめします。

謎解きそのものがさほど面白いわけではないため、攻略に頼っても本作の魅力が大きくそがれることはないでしょう。

 

 

4.おすすめしたい人

・精神的な負の部分、深い部分を描写する作品が好きな方

・ルールよりも、シナリオ・世界観・雰囲気で見せることを重視した作品が好きな方

 

 

5.総評

グラフィックの雰囲気や音楽にひかれるものがあれば十分遊んでみる価値があると思います。

 

: ゲームレビュー : 23:44 : comments(0) :
【レビュー】 THE CAT LADY - 強いメッセージ性と幻想的なグラフィックが特徴のホラーADV

THE CAT LADY

 

開発元: Harvester Games

発売年: 2012

価格(レビュー時点): ¥980 (STEAM)

開発元公式HP

販売ページ (STEAM)

対応ハード: Win

ジャンル: ADV (2D・サイドビュー・戦闘要素なし)

世界観・ストーリー: ホラー・サスペンス・ミステリー・サイコ

※一部R-18要素あり

 

レビュー時点のプレイ状況: 1回クリア

クリアまでのプレイ時間: 12時間

 

レビュー時点日本語対応: なし (MODも存在せず)

 

ページ内ネタバレ要素: なし (プレイ開始〜30分程度の冒頭部分については多少言及しています)

 

 

1.概要(ゲームルール・システム・世界観・雰囲気・音楽など)

切り絵アニメーションを思わせるような幻想的なグラフィック、作り込まれたストーリー、世界観を精密に描写する多数の楽曲が特徴のサイドビューADVです。

プレイヤーは孤独な中年女性のSusanとなって異世界や現実を探索し、自身にとっての脅威である5人の殺人鬼(Parasites)に立ち向かいます。

 

 

レビュー時点では日本語化MODが存在せず、それなりの量の英文を読みながらプレイする必要があります。フルボイスであるため雰囲気で何となく伝わる部分も多いと思いますが、使われている単語が結構難しく、僕は辞書を片手にプレイしました。

 

とはいえ、基本的にはアイテムを収集してそれをどこで使うかを考えるだけのシンプルなルールによって進んでいくため、言語が壁になって全く進めなくなるということはないでしょう。(ただし、会話の選択肢によってゲーム展開が変わるのでその点は注意が必要。普通にクリアするだけでなく、ストーリーの把握や全実績解除まで目指すならある程度の言語能力は必要でしょう。

 

アイテム探し&使用以外の挑戦課題も時折あらわれ、その都度画面上の指示・説明メッセージとともに示されます。

1回しか登場しないタイプのものもちらほら。

 

残虐描写はありますが、恐怖度はさほど高くないと言って良いでしょう。

多少驚かされるシーンはありますが、あくまで世界観としてホラーを採用しているといったところ。

 

 

 

2.良い点・見どころ

グラフィック、音楽、ストーリーとどこを取っても素晴らしいゲームなのですが、やはり最初に語るべきはストーリーでしょう。ネタバレにならない程度に冒頭部分をちょっとだけ紹介します。

 

 

ストーリーは「猫だけが友達だ」と話す、孤独な中年女性Susanの自殺から始まります。自殺したはずがいつの間にか異世界におり、そこで自分の死体を発見、うろうろしている内に出会った謎の老婆からある依頼を受ける。「私の代わりに5人のParasites(殺人鬼)を殺してほしい。そうすれば、あんたには今までと違った幸せな人生が待ってるよ。」と。

この時点でまずまずのぶっ飛び具合ですが、更には「あんたには絶対的な優位があるんだよ。これを成し遂げるまでは不死身なんだからね。」というようなことを付け加えます。

 

やむなく依頼を受けて現実に戻るSusan

「猫だけが友達」といったセリフから、孤独でか弱い存在という印象を受けるかと思いますが、ゲームが進行するにつれて、どうにもSusanはただか弱いだけの存在ではないことがわかってくる。皮肉めいたジョーク、ある時点で主人公の相棒となるMitziとのやり取りと友情。

 

なぜSusanは人生に絶望しているのか、なぜ猫だけを愛する孤独な人間になってしまったのか、老婆の言う通り、全てが終わったら本当に“幸せな人生”が待っているのか、5人のParasitesと対峙する中でそれらは明らかになっていきます。

 

ぜひとも最後まで見届け、本作に託されたメッセージを受け取ってほしいと思います。

まるでロードムービーやヒューマンドラマのような、作者の人生観が込められた作品です。

 

 

次にグラフィック。

色数をおさえ、遠近感を排除し、実写とイラストが入り混じる様は切り絵アニメーションを思い起こさせます。

異世界は幻想的・夢想的な雰囲気です。

 

こういったゲームに定番の正体不明機械・・。

 

自分の死体を発見するシーンなのになぜこうも美しいのか。

 

 

に音楽。BGMはジャズやプログレ系のおしゃれな曲やアンビエントが多いです。

一方、歌曲はnine inch nailsMisery loves co.あたりを思わせる攻撃的なインダストリアルメタルだったり、悲しげなシューゲイザーだったりとバラエティに富んでいます。

どれも素晴らしい曲ですので、サントラ込みでの購入を強くおすすめします。

 

 

 

3.難点

難点というほどでもないのですが、序盤(病院)の謎解きはやや難しく感じました。

詰まったら総当たり的に試していくことも必要ですね。

以降はさくさく進んで楽しかった記憶。

 

やや動作が不安定なところがあるため、プレイ中に起きた不具合と対処法をあげておきます。

 

Win10機(GTX970)でプレイすると音が鳴らないことがありました。一度最小化して戻すと以降は正常に鳴るようになりました。

WinXP機(HD6850)でプレイしたとき、デフォルトの設定では画面の表示範囲がおかしくなる(画面が右下方向にずれ、見切れている)ため、起動時に選択できる「SetUp」から「Advanced」を開き、

Enable side borders」、「Enable top & bottom borders」、「Smooth scaled sprites (fast CPUs only)」にチェックを入れて起動すると正常動作するようになりました。

・濃い霧が出る場面でフレームレートが極端に低くなる場合があるようです。僕のPC(上記のXP機)でも起こりました。さほど長い場面ではないのでゲームが進行できなくなるほどではないですが・・。

 

その他、ウィンドウ表示・フルスク表示ともに解像度設定ができないのは少々難点です。

あとは、セーブ・ロード時に確認メッセージなどがないため、操作を間違えやすいことでしょうか。

一度、間違ってロードして前のチャプターに戻されてしまいました・・。

各チャプターからプレイすることもできないため、この点はやや注意が必要です。

 

 

 

4.おすすめしたい人

・ゲームで言えばサイレントヒル、映画でいうとデヴィッド・リンチ作品のような異世界ものが好きな方

・メッセージ性の強い作品、作家性が強く出ている作品が好きな方

・プレイ後に余韻を残す作品が好きな方

 

 

5.総評

ほどよいプレイ時間の中で展開される中身の濃い個性的なストーリー、美しい音楽とグラフィック。

ADV好き、ホラー好きならば買わない理由はないでしょう。

: ゲームレビュー : 23:54 : comments(0) :
【レビュー】 Enola - 妖艶で不気味な雰囲気が魅力の探索型ホラーADV

Enola

 

 

開発元: The Domaginarium

発売年: 2014

価格(レビュー時点): ¥1480 (STEAM)

開発元公式HP

販売ページ (STEAM)

対応ハード: Win

ジャンル: 探索型ADV

世界観・ストーリー: ホラー・サイコミステリー・百合

R18要素あり

 

レビュー時点のプレイ状況: 2回クリア (Normal Mode

クリアまでのプレイ時間:810時間程度(1周あたり)

 

ページ内ネタバレ要素: ページ下部にあり(注意書きを入れてあります

 

 

1.概要(ゲームルール・システム・世界観・雰囲気・音楽など)

妖艶で不気味な雰囲気が魅力の探索ADVです。

プレイヤーはEnolaとなり、いなくなってしまった恋人のAngelicaを探すため、彼女の過去の記憶やトラウマとなった出来事などに触れながら、不条理かつ幻想的な世界を探索することになります。

インディー作品らしい粗さはありつつも、独特・個性的な世界観と雰囲気は非常に魅力的です。不条理な世界観に反してストーリーは明確であり、テキストや会話(回想など)によって直接的に情報が得られる割合が多いと思います。

 

レビュー時点では日本語非対応、日本語化MODも存在しないため、ある程度の英語力は必要かと思います。基本的に平易な表現が多いのですが、それなりの数の人物が登場するため、内容の整理がやや難しく感じました。

 

僕の場合、1回目のプレイでは全体の半分もストーリーがつかめず、EDもおそらく一番悪いものでした。

しかしながら、本当に独特としか言いようがない魅力的な世界観と雰囲気が忘れられず、英語の勉強をちょこちょこするようになったこともあって再プレイを決断。2回目では無事ベストED(と思われますが、ED2種類しか見ていないため詳しくは不明。便宜上ベストEDと表記します。)を迎えることができました。

テキスト、会話ともに自分なりに翻訳・メモしながらのプレイはなかなか大変でしたが、1回目のプレイだけで諦めなくて本当に良かったと思っています。無事ベストEDを迎えられたことだけでなく、本作の魅力をきちんと理解できたことが本当に良かったなと。

 

ゲームの進行はほとんどが鍵やアイテムを探して使う、パズルを解くなどによって行われます戦闘のない探索型ADVとしては実にオーソドックスな作りです。

一部敵から逃げ回る・隠れるなどの動作が必要になるところもありますが、あくまでおまけ程度。

死亡原因の大体は針やプレス機などのトラップによるものと落下でしょう。

 

クイックセーブは不可能で、所定の箇所(Angelicaの写真が挟まったオルゴール)でのみセーブ可能です。セーブスロットは5つ。マルチED6種類のようです)であることを考えると少し厳しすぎるかなという印象。

ED全回収を目指すとなると周回プレイは避けられないかもしれません。1周あたりがなかなか長いのと、(詳しくは後述しますが)マップがなかなか迷いやすい作りであるため少々厳しいですね・・。

 

開始時「Normal mode」と「Nightmare mode」の2つからゲームモードを選ぶようになっていますが、これは難易度選択ではなく、アップデートで追加された新要素を含めて遊ぶかどうかの選択のようです。

レビュー時点ではまだNightmareでプレイしていないため、残念ながら詳細は不明。これから遊ぶ方は最初からNightmareの方がいいかもしれません。

 

 

2.良い点・見どころ

なんと言っても独特な世界観と雰囲気。音楽も秀逸です。恐怖度はそれほど高くないのですが、妙に不気味で不安感を煽られるものがあります。

ストーリーもなかなかえげつなく、深みを感じる内容です。ゲームの進行とともにAngelicaの生い立ちやトラウマとなった出来事が明らかになっていきます。

中にはEnolaAngelicaの出会いを綴ったものなど、微笑ましいものも。

Enola自身の過去、人物像などについてもゲームの進行にしたがって明らかになっていきます。

 

光の描写が妙に美しく幻想的。

 

開始地点近くにある不気味な人形。

 

調べると、風俗店か何かをほのめかすようなものが・・。

 

大体の英文はこんなくらいの内容で、それほど読みにくいわけではないのですが、話者が誰なのかわからないために混乱することがありました。2周目では一通り把握できましたが、1周目は頭の中が相当ごちゃごちゃしてた記憶があります。

 

Angelicaの写真が入ったオルゴール(セーブポイント)。美麗なグラフィックではないものの、Angelicaは結構かわいい。

 

全編通してマネキンその他人形が多く出てくる印象ですね。スクショでは伝わらないでしょうが、ここは妙に不気味です・・。

 

思いっきりアレな感じの人形。不気味かつ性的な表現が全編に渡って続きます。絵的に載せるかちょっと迷いましたが、本作の雰囲気が一番伝わるのはこの1枚ではないかなと。

 

 

3.難点

全体的な迷いやすさ、アイテムの見落としやすさ、パズルのノーヒントっぷり。このあたりが一番きついところです。迷うのは根気でカバーできますが、アイテムは本当に見分けがつきにくく、2周目ですら完全に見落としたものもありました。

パズルは何度も挑戦している内に自然と解けるものもありますが、数字を使ったパズルはいまだ理解できないものもあります。パズル自体はさほど楽しいものではないので、詰まったときは攻略を参照しても問題ないと思います。

あとはED分岐の条件でしょうか。僕は2周目でベストEDにたどり着きましたが、あくまで予測が運よく当たったという感じです。少なくとも1周目でいきなりベストEDにたどり着くのはかなり厳しいのではないかと・・。

ページ下部にNormalモードでのベストEDの条件について記載していますので、周回の予定がない人は参照してください。

その他の要素として、ゲーム内の問題ではないのですが、STEAMページからサントラを購入してもどこにもファイルが見当たらず、ゲーム本編からの再生メニューもどこにも見当たりませんでした。仕方なく返金リクエストを行った次第。サントラだけならbandcampからも買えるようなので、STEAMからは買わない方が良さげですね・・。

 

 

4.おすすめしたい人

・不条理、不気味な世界観が好きな方

人間の持つダークな部分、ネガティブな部分を扱った作品が好きな方

 

 

5.総評

不気味でエロティックな独特の世界観と雰囲気。稚拙な表現ですが、これが本作の一番の魅力です。

 

 

6.攻略メモ

Nightmareモードのプレイとあわせ、いずれ本格的な攻略記事を書くかもしれないので、ちょっとしたメモにとどめておきます。

ストーリー情報のネタバレにはならないようにしてありますが、自力クリアしたい方は見ない方がいいでしょう。

各項目は表題以外白文字になっていますので、必要な部分を反転させて読んでください。

 

・数字パズル (ボタンがたくさんある部屋。失敗すると大量のライフルで射殺されるところ。)

壁に並んでいる数字と床に書いてある文字がヒントで、素数の書かれたボタンだけを押していけば脱出できるはずです。

 

・数字パズル (確かFactoryの地下)

いまだに仕組みがわからないパズルですが、確か6種類ほど数字があってその中の一つが正解になっています。576だったか、真ん中あたりの数字が正解のはず。

 

ED分岐条件

おそらくは「Kill」と「Spare」を選択させられる部分が分岐条件です。

全て「Spare」を選ぶとベストEDでした。

一人でも殺してしまうと他のEDになるのかどうなのかは試していないので不明。

: ゲームレビュー : 05:08 : comments(0) :
【レビュー】亡国のクルティザンヌ - 時代に翻弄された少年の復讐劇

『亡国のクルティザンヌ』

 

開発元: Cosmillica

発売年: 2016

価格(レビュー時点): ¥1404 (DLsite)

開発元公式HP

販売ページ

対応ハード: Win

ジャンル: ビジュアルノベル(選択肢なし・フルボイス)

世界観・ストーリー: ミステリー・サスペンス・時代物・歴史もの・政治もの・背徳・退廃

18禁要素あり

 

 

レビュー時点のプレイ状況:1周プレイ

クリアまでのプレイ時間:78時間程度

 

ページ内ネタバレ要素: ページ最下部にあり(注意書きと長めの改行を入れてあります

 

 

1.概要(ゲームルール・システム・世界観・雰囲気・音楽など)

選択肢なしのビジュアルノベルであるため、正確にはゲームの定義からは外れます。

 

19世紀のパリを舞台にした、いわゆる時代物のミステリー/サスペンスです。

フランスの政変を基軸に物語が展開していくため、登場人物はそれぞれに政治的な思惑を持っており、複雑な利害関係にあります。

政治もの特有の陰湿さ、互いを出し抜こうとする心理戦・腹の探り合い、復讐に燃えるニナ(高級娼婦の女装少年)の心情、生い立ち・・・。実に重厚で隙がなく、人間の暗部を深く鋭く描いています。

 

作中で登場する政治に関わる出来事は、ほとんどが事実とされていることなのでしょう。

人物同士の会話場面だけでなく、政治体制の大きな移り変わりなどは、白黒写真や絵画とフランス語音声+日本語字幕による解説場面で説明されます。なにかのドキュメンタリーのような雰囲気です。

こういった配慮のおかげで、自分のような学のない人間でもなんとか物語についていくことができました。

 

絵こそ普通のアニメ絵ですが、内容はというと一般的なビジュアルノベル(数多くある、ラノベに寄せたような作品群)とは明らかに一線を画すものであるといえます。

 

 

2.良い点・見どころ

プレイヤーへの物語情報の伝達の仕方、情報量の制御が非常に見事です。

前半は、主人公の心の内・思惑などをプレイヤーに積極的に語り、これから起こるかもしれない出来事をある程度予測させながら緊迫感を生み出しています。そのためか、ニナの視点を通して語られる割合が多いように思います。

 

謳い文句の通り、本格的に群像劇となるのは後半からでしょうか。複数の登場人物を通して物語情報が得られる割合が多くなります。

それにも関わらず、重要人物の心の内は語られずに情報が制限され、急激に展開の予測ができなくなっていくことに不安を強く煽られます。

頭の中で、人物同士の関係、政治の動き、物語上の過去の出来事などを整理しながら必死に予測を立てようとするのですが、どうにも核心部分が見えてこず、つかみどころのない不安感がどんどん増大していく感覚がありました。

 

思考を繰り返しながら、もしや・・・と、ある人物の思惑がはっきりと理解できたときは、人間の持つ恐ろしさやおぞましさに全身が震え、涙が流れてくるほどの恐怖を覚えました。

因果関係も隅々まで抜かりなく構築されており、本当に隙のない作品です。

 

 

3.難点

一部ボイスが出ない箇所や顔グラが明らかに間違っている場所がありましたが、まあプレイには支障ない程度でしょう。

 

 

4.おすすめしたい人

・『ファタモルガーナの館』などの重厚なミステリー/サスペンス作品が好きな方

・歴史や政治を扱った作品が好きな方

・人間の暗部を深く描いた作品が好きな方

・余韻を強く残すダークな作品が好きな方

 

 

5.総評

分類上はエロゲーであることと、女装少年という少々好みが分かれそうなキャラクターが登場することなどから敬遠される方もいらっしゃるでしょうが、そういった部分にとらわれずぜひとも手に取っていただきたい作品です。

 

 

以下、長めの改行を挟んでネタバレ込みの感想になります。白文字にしてありますので、読む方は反転させてください。

プレイ前に読んでしまうと本作の魅力を大きく削いでしまうため、未プレイの方は絶対に見ないで下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6.ネタバレ込み感想

ずっと主人公だろうと思っていたニナが中盤で倒れたことも少々驚いたのですが、それよりも大人になったコレットが怖すぎて怖すぎて・・。

 

ニナの行動目的については直接語られる部分が多くかったのですが、対して大人になったコレットは行動目的がどうにもつかめないようプロットが工夫されています。

おそらくニナのかたき討ちをするのだろうな、ということは前半を見ていれば誰でも理解できますが、ナポレオンの愛妾となっても一向に手を下さず、「はて、もしや狙いは皇后か?」と思ってもそれもどうにも違う。

最初は殺し方にこだわってるのかな、くらいに思いながら読み進めていたのですけども、どうにもおかしい、何かおかしい・・という捉えどころのない不安感がどんどん強くなっていったのを思い出します。

 

少しずつ歯車が狂うように世論が戦争に向けて動き出し、本来国を取り仕切るはずの政治家や皇帝でさえもその動きを止めることができない様は、ポール・グリモーのアニメーション映画『王と鳥』を思い浮かべるものでありました。

 

そしてコレットの出生や目的をすべて理解できたときの言いようのない恐怖。恐怖。恐怖。

まさか、と予測が立った時点でもう震えと冷や汗が止まらなかったのですが、それが直接明かされたときには涙が溢れました。

あまりにも忌まわしくあまりにも悲しく、そしてどこまでも恐ろしい。

そしてコレットの目論見は見事達成され、たった一人の少年と、その意志を受け継いだ一人の少女に、ナポレオンも皇后も完全に屈し、フランスは破滅を迎える・・。

復讐を遂げたコレットすらも暴動の中で倒れ、全ては無に帰す。

 

どこまでも救われない話ですが、精密に構築された因果関係は結末を感情で否定することを一切許してくれません。

 

 

さて、ほとんど語りたいところは語りましたが、物語の中核部分以外のところにも少し触れていこうと思います。

 

個人的に気に入ったキャラクターはモルニー公ですね。

自らの罪、ニナから向けられた憎悪という憎悪を理解し、破滅を受け入れてなお、純粋なまでにニナを愛しているという彼の姿には心を打たれるものがありました。

 

濡れ場に関しては、ニナが警官に犯されるシーンが印象的でしたね。

非常に忌まわしくおぞましいシーン・・・のはずなのですが、本当に不思議なくらいニナの妖艶さが引き立つシーンだったなと。

その後のシーンも印象的で、あんな殺され方にも関わらず死に顔はとても穏やかに描かれています。

 

後になって考えると、ニナもまた、警官たちからの仕打ちを自らの罪(たくさんの男女を弄び破滅させてきたこと)への報いとして受け入れていたのかな、と思わなくもありません。

あるいは、モルニー公が言うところの「神が与えた最後の槍」に彼自らが飲み込まれてしまったのか。それも含めて自らの破滅を受け入れたのか。

 

選択肢のないビジュアルノベルは滅多に再プレイすることはないのですが、本作は珍しく例外になりそうです。

また一つ、忘れられない作品に出合うことができました。

: ゲームレビュー : 08:05 : comments(0) :
【レビュー】the town of light (STEAM / ホラー・ミステリー・ADV・探索)

『the town of light』

 

開発元:LKA
発売年:2016
価格(レビュー時点):¥1880
開発元公式HP
販売ページ
対応ハード:Win / STEAM
ジャンル:ADV(探索型・主観視点・戦闘なし)
世界観・ストーリー:ホラー・ミステリー

※R-18要素あり


レビュー時点のプレイ状況:クリア済(全実績解除)

クリアまでのプレイ時間:5〜6時間


1.概要(ゲームルール・システム・世界観・雰囲気・音楽など)

実在の精神病院をモデルにした探索ADVです。戦闘要素だけでなく追いかけられる・逃げ回るなども一切なく、じっくりとゲームの世界観・ストーリーを体験・体感できる作品です。謎解き・パズル的要素も控えめ。

 

主人公はreneeという精神分裂症を患った16歳の少女。

他の登場人物はreneeの回想シーンなどでしか登場せず、探索中はひたすら孤独です。

そのおかげかじっくりと探索に集中でき、実際に廃墟に入って探検しているようなリアルな感覚があります。

プレイヤーはreneeの別人格なのか、あるいはまた別の存在なのか、声だけで語りかけてくるreneeの言葉を聴き、対話を繰り返しながらゲームを進めていくことになります。

reneeに一体なにが起こったのか、どういった生い立ちだったのか、病院での生活はどんなものだったのか・・。

 

reneeのお気に入りの人形Charlotte。

パッと見不気味ですが、全編通して恐怖感はそれほどありません。

 

回想シーンはこんな感じの絵柄に変化します。

切り絵アニメ、アートアニメなどに近いような絵柄。

 

唯一残念なのは、レビュー時点では日本語対応・日本語化MODともになく、英語のまま理解しなければならないことです。

文章量やセリフの量も多く、正直なところ理解できたのは全体の1/3程度です。あらすじはなんとかつかめたといった具合。

しかしそれでも十分すぎるくらいおすすめできる作品です。

 

BGMは地味ながらしっかりと雰囲気づくりに貢献していると思います。なお、無料DLCでサントラ入手可能。

最後にかかるarmaudというアーティストの歌曲も素晴らしく、AmazonのMP3配信で即購入しました。(歌曲は無料サントラに含まれてません)

 

実際にゲームでかかる曲はゲーム内で聴いていただきたいので、同じアーティストの別の曲をはっておきます。

ジャンルはいわゆるシューゲイザー/ドリームポップですね。

儚い雰囲気が本作にとてもマッチしています。

 

 

2.良い点・見どころ

とにかく廃墟の雰囲気が素晴らしい。

僕は廃墟ファンで、炭鉱跡などに写真を撮り行ったりもしますが、廃病院の周りの植生なども非常にリアルに感じられました。

建物内部だけでなく、そういった面も綿密な再現を行っているのかもしれません。

廃墟を舞台にしたホラーゲーや、ホラーゲーの中に廃墟が出てくるというのはよくあることですが、ここまでリアルに感じられる廃墟の表現は類を見ません。

廃墟ファンも納得の出来です。本当にもう、歩いてるだけで楽しい。単なるウォーキングシミュレーターとして見ても十分に価値があると思います。

自然に飲み込まれつつある廃病院。

 

差し込む光の美しさは格別。

 

上述の通りあらすじしかつかめませんでしたが、ストーリーもとても記憶に残るものでした。

クリア後もあれこれ考えてしまうような余韻が残ります。

renee役の声優の繊細な演技も素晴らしい。

 

まだ黎明期の精神病院をモデルにする場合、かわいそうな患者と横暴で無知な医者・看護師という構図になりがちですが、本作はそれだけにとどまっていないのが素晴らしいです。

 

 

3.難点

ストーリーがつかめていないせいかもしれませんが、売り文句になっている「選択肢によってreneeの病状が変わる」という点はいまいち体感できませんでした。

ストーリー分岐があることは間違いないのですが、それだけだといたって普通のシステムでは・・・と思ってしまいます。

ただ、ストーリーを完全理解できれば全く別の評価になる可能性はあります。

あくまでストーリーが断片的にしかわからなかった状態での感想ですので、その点はご容赦ください。

 

歩く速度が遅すぎるという指摘が若干あり、確かに他の探索ADVと比べると動きはかなりゆっくりです。走ることもできません。

しかしこれは建物や屋外をじっくりと眺める・眺めさせるという点では必要なことであり、本作にはちょうどいいスピードであると思います。

 

また、難点というわけではありませんが、全ルート制覇には攻略情報のお世話になりました。

文章がしっかり理解できれば選択肢の予測もつくのかもしれませんが、最後に残ったルート(11b)がどうにも難しかったです。

普通に1周クリアする分には攻略記事は不要でしょう。少々不親切なのでうろうろすることはあると思いますが、根気よくプレイしていればなんとかなります。

ただ、僕の場合はプレイ中に一度だけ進行不可バグに見舞われました。いろいろ試して進まないと思ったらロードしてみることをおすすめします。

 

 

4.おすすめしたい人

・廃墟ファンの方

・世界観や雰囲気、ストーリーをじっくり体感できる作品が好きな方

・サイレントヒルやCRY OF FEARのような、クリア後に強烈な余韻が残る作品が好きな方

・人間のダークな側面を深く描いた作品が好きな方

 

 

5.総評

英語ができなくとも購入の価値は十分にあり。

プレイ時間気5〜6時間に対して2000円近くというのは少々割高に思えるかもしれませんが、気になったら即購入でいいと思います。

: ゲームレビュー : 14:01 : comments(0) :
【レビュー】SETTLED (STEAM / ミステリー・ホラー・ADV・2D・レトロ風・ドット絵)

『SETTLED』

 

開発元:Allen Dayan
発売年:2016

価格(レビュー時点):¥198
開発元公式HP

販売ページ
対応ハード:Win / STEAM

ジャンル:ADV(探索型・2D・横スクロール・レトロ風)
世界観・ストーリー:ミステリー、ホラー


レビュー時点のプレイ状況:クリア済み

クリアまでのプレイ時間:30分程度

 


1.概要(ゲームルール・システム・世界観・雰囲気・音楽など)

ドット絵を用いた2D探索ADVです。戦闘要素なし、一本道で30分程度で終わるとても短い作品。

絵柄は全てドット絵ですが、効果音やBGMはレトロ系ではなく普通にクリアな音というよくある組み合わせです。

日本語化MODはレビュー時点ではありませんが、とても簡単な英文だけですのでストーリーの完全理解は十分可能です。

 

メインのプレイ画面はこんな感じ。左右の移動とオブジェクトを調べるボタンだけというとてもシンプルな操作です。

メイン画面がシンプルなドット絵であるだけに、効果音が妙にクリアに聴こえて雰囲気抜群。

BGMは素材サイトのものを使用しているようですが、効果的に使われておりチープさは感じません。

 

オブジェクトを調べること、歩き回ることでゲームは進行しますが、その都度異様に描きこまれた一枚絵や、主人公の自問自答的なセリフが挿入されたりといった具合。

主人公の過去の記憶や幻覚、自問自答などの断片的な情報をもとに、少しずつ、主人公に何が起きたのかが明らかになっていきます。

地味ながら恐怖感・没入感はなかなかのものです。

 

2.良い点・見どころ

なんといってもドット絵の迫力がすごい。本当に異様な迫力です。

感覚的にはスウィートホームやスプラッターハウスなどの絵柄に近いでしょうか。

それぞれがアートとして鑑賞できてしまうような強烈な魅力を持っています。

タイトル画面も含め、何やら悪魔的な印象を与えるシーンが多いです。

本当にもう、この絵だけで買う価値があると思う。

安易なレトロ風ではなく、ドット絵特有の迫力を最大限に発揮した素晴らしい絵柄です。

ダークなドット絵は本当にかっこいい。

 

 

3.難点

難点というわけではないのですが、ストーリー自体は王道というかよくあるものです。

しかし情報の抑制が上手で、展開はある程度予想外に感じると思います。

 

 

4.おすすめしたい人

・スウィートホーム、スプラッターハウスなどダークなドット絵が好きな方

・短時間で遊べる作品が好きな方

 

 

5.総評

198円という低価格、30分で遊べてしまう短さ。

ちょっとした暇つぶしにと思って買って遊んでみたら意外にも記憶に残る作品だった、というのが本作の総評です。

文句なしにおすすめできます。

短編映画を何の気なしにふらっと見に行くような感覚でどうぞ。

: ゲームレビュー : 03:13 : comments(0) :
【レビュー】BACK IN 1995 (STEAM / ミステリー・ホラー・ADV・探索・レトロ風・ローポリ)

『BACK IN 1995』

 

開発元: Throw The Warped Code Out
発売年: 2016

価格(レビュー時点):¥1180
開発元公式HP

販売ページリンク
対応ハード:Win / STEAM

ジャンル:ADV(探索型・3人称視点)
世界観・ストーリー:ミステリー、ホラー、SF

 

レビュー時点のプレイ状況:クリア済(全実績解除)

 


1.概要(ゲームルール・システム・世界観・雰囲気・音楽など)

SS・PS初期のローポリを再現した探索ADVです。

パッと見の雰囲気通り、サイレントヒルなどの強い影響が感じられます。

 

 

ローポリを再現することに加え、画面にはブラウン管風のエフェクトがかかっています。

ブラウン管っぽさをかなりおおげさに強調しているため、純粋なブラウン管の再現ではないのですが、ローファイなポリゴンモデルとあいまって見た目として非常にかっこよく、なんとも幻想的な雰囲気を作り上げています。

 

ローポリを再現したレトロ風ゲームというだけで今現在珍しいのですが、このゲームは単にローポリを再現することだけで終わっていません。

ダンジョン・建物のデザインなどに特によくあらわれていますが、あの時代のローポリ特有のカッコよさを十分に理解した上で制作している印象を強く受けました。

クリーチャーは少々お粗末ですが建物はなんとも素晴らしい。見ているだけで楽しいです。

ただ、サイヒルのような恐怖感は全くありません。あくまでホラー的な世界観を利用しているだけで、主軸はミステリーだと思います。

 

操作は初期バイオとほぼ同じ方式。左右旋回・前進後退、不自由なあの操作が味わえます。

ただし後退速度が結構速く、アイテム類も豊富であるため戦闘周りは楽々です。

 

 

2.良い点・見どころ

第一に、なんといってもこのグラフィックでしょう。

上述した通り、当時物の再現だけでなく、ローポリにしか出せないカッコよさをきちんと出せていることが素晴らしいです。

同じくらい重要な見どころはストーリー(というか作品全体を通してプレイヤーに伝えられるもの、メッセージ)なのですが、ネタバレになってしまうのでこちらに書けないのが残念・・。

非常に誤解を受けやすいゲームなので一つだけヒント、というか注意書きをしておくと、

 

ゲーム内で語られるストーリー情報やその他の情報には必ず意味があります。

 

ぜひとも、ゲーム全体を通して制作者が我々に何を伝えたいのか、思考を巡らせながらプレイしていただきたいと思います。

前半(〜1時間半くらい)は情報があまりに小出しで退屈に感じますが、中盤あたりから徐々に情報量が増えていき、ゲーム内のストーリーや制作者の意図について、あれこれ解釈を考えながらプレイしていくことが可能になります。

 

全てがわかったときは鳥肌が立つような興奮を覚えました。

 

そういった意味で、本作は純粋なまでにストーリーやメッセージを伝達するゲームです。

僕にとっては一生忘れられないゲームになりました。

 

 

3.難点

最大の難点は音楽です。音作りは悪くないと思うのですが、いくらなんでも単調すぎて眠くなります。耳に残るような曲は一切なし。代わりに作りたいくらいです。

敵キャラの少なさ、戦闘周りの戦略性の低さもマイナス点です。大体パイプレンチ1本でなんとかなってしまいます。

回復アイテムも豊富なため、アイテムのやり繰り・リソース管理といった面の楽しさには一切期待しない方が良いでしょう。

 

 

4.おすすめしたい人

・SS・PS時代のローポリが好きな人

・ローポリ特有のカッコよさにひかれる人

・最近面白いゲームがないとぼやいている方(レトロにどっぷりはまっている方、新しいゲームに興味が持てない方)

・メッセージ性の強い作品が好きな方

 

 

さて、ネタバレなしに本作を語るのはここまでが限界ですので、既プレイの方のみを対象にネタバレ込みの感想を書きます。

本作をプレイしたけど意味がわからなかったという方、このゲームにがっかりした方、期待外れだったという方には是非お読みいただきたいです。

 

未プレイの方は見ないで下さい。本作で得られる体験・経験の素晴らしさがほぼ消滅してしまいます。

うっかり見てしまわないよう長めに改行を入れておきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


5.ネタバレ込み感想
スタッフロール直前に唐突に挟まれる開発者コメント、主人公が言う「彼と私との違い」という意味深な言葉。

彼とは誰なのか?

突然のメタ的演出は一体何のためなのか?

 

プレイ直後はしばらく考え込みました。

 

しかし、振り返ってみるとあちこちに意味深なメッセージが多数埋め込まれており、STEAMのストアページにすらそのヒントがあります。

 

「都市には何が起こったのか、なぜあなたは戻ってきたのか、最大のミステリーはプレイヤー自身。」

 

僕はこの作品を、過去にとらわれ続け先に進むことができなくなった主人公と、過去の物を利用しながら新しい物を作り、前に進もうとする開発者との対比ととらえました。

 

過去にとらわれ続ける主人公とは、いわゆる「レトロゲーム」にしか興味を示さず、新しいゲームはつまらないと切って捨ててしまうようなタイプの偏狭なゲームファン層の隠喩でしょう。

それに対し、過去の物を利用しながらも前へと進む開発者。本作のメッセージは、新しいものに興味を示さなくなったゲームファンへの痛烈な批判であり、彼らの目を開かせることこそが本作の最大の目的だったのではないかと思います。

 

「レトロ風」というキャッチフレーズで対象の世代を誘引しつつ、新しいものに目を向けられなくなったプレイヤーに的確で突き刺さるようなメッセージを伝える。

メッセージの伝達の仕方として本当に見事で、深い共感を覚えました。

ゲーム内のストーリーだけではなく、作品全体がミステリーとして機能しています。

 

昨今レトロ風ゲームは掃いて捨てるほど存在し、レトロゲーム自体も妙な盛り上がりを見せています。

旧世代のゲームが見直されるのは一向に構わないのですが、明らかにその中に、ゲーム文化全体にとってマイナスになるであろうゲームファン層が存在する。

新しいものに目を向けられず、探すこともせず、自分がすっかり偏狭・偏屈になってしまったことも自覚できず、ただ勝手に今のゲームに絶望しているような人たちです。2011年頃、360を手にする以前の僕のように。

 

プレイヤーを過去へと連れていき、最後に現代へと連れ戻す。

現代へと戻ってくると、手元には開発者からの強烈なメッセージが残っている。

何のために開発者はプレイヤーを1995年へと連れて行ったのか、そのすべてが明らかになる。

 

ゲームのメディアとしての可能性を新たに切り開いた素晴らしい作品です。

: ゲームレビュー : 16:46 : comments(0) :
recommend.