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『SYSTEM SHOCK 2』
開発元: Looking Glass Studios & Irrational Games
発売年: 1999
価格(レビュー時点): ¥980 (STEAM) / $ 9.99 (GOG)
販売ページ (STEAM / GOG)
対応ハード: Win・Mac・Linux
ジャンル: FPS・ADV
世界観・ストーリー: SF・サイバーパンク・ホラー
日本語対応 (レビュー時点): MODにより可
レビュー時点のプレイ状況: NORMALでクリア済
クリアまでのプレイ時間: 20時間程度
ページ内ネタバレ要素: なし
1. 概要
FPSをベースに、探索ADVとRPG的な成長・強化要素を掛け合わせたようなルールを持つSFホラー作品です。
実質的にBIOSHOCKの前身と言える作品であり、多くの共通点(上記のルール要素や閉塞的な世界観、オーディオログを中心とした断片的なストーリー情報供給など)を持っています。
宇宙船内のみを舞台とした、息が詰まるような閉塞感とダークな雰囲気、シビアな資源管理から生まれる緊張感が大きな特徴です。
序盤は弾数がかなり少なく、レンチでの戦闘がメイン。他の作品と比べると振りがかなり遅く、コツが要ります。
2. ルール・挑戦課題 (ゲームシステム)
ルールと挑戦課題は、キャラクター強化・成長要素を含んだFPS系の戦闘と、ADV的な謎解き・探索によって構成されています。なお、セーブは使用場所や回数などの制限がないオーソドックスな作りです。
戦闘要素
戦闘は一般的なFPSをベースに、アイテムのやりくりを組み合わせたものです。
レンチ等の接近戦武器、ピストルやショットガンなどの銃火器、Psi(超能力)を使い分けながら、サイボーグやクリーチャーと戦います。この時期のFPSとしては珍しくリーン(覗き込み動作)が可能です。(さすがにADSや伏せはありませんが)
銃は使用する弾薬や発射モードを切り替えられるようになっており、撃つごとに耐久度が下がっていく仕組みです。他のゲームと比べると耐久度低下がかなり極端で、こまめな修理が欠かせません。
敵は、種類よってダメージの入りやすい弾薬や武器カテゴリが大きく異なっています。また、監視カメラや自動機銃などの設備系のものを除いて無限に再配備される仕組みになっており、完全に安全な場所はほぼ存在しないと言っていいでしょう。遠距離攻撃ができるほとんどの敵は反応速度が異常に速く、こまめなセーブが必須になるシビアなバランスです。
回復薬や弾などは拾得の他、通貨(Nanites)を利用して、あちこちに設置された自動販売機(Replicator)から買うこともできます。
キャラクター強化・成長
ゲーム開始直後に職業選択があり、武器の扱いに長けたMarines、ハッキング能力に長けたNavy officers、Psi(超能力)に長けたOSA agentsの3つから選ぶことになります。
プレイヤーキャラの能力は、基本的な身体能力を決めるStatistics、修理やハッキング能力を左右するTechnical、武器の装備の可否や威力を決めるCombat、超能力のPsiの4つにカテゴリ分けされており、Cyber moduleというアイテムを使って各パラメータを強化することができます。
成長要素はゲームを有利に進めるためだけでなく、どちらかというと進行のために必須の要素です。例えば、初期状態では武器はレンチくらいしか装備できず、そのままでは監視カメラ(捕捉されるとしばらくの間敵が大量出現します)の破壊すらままなりません。
強化に必要なCyber moduleは拾得や目標達成時の報酬として得ることができますが、数が限られるため、どのパラメータに割り振るかを考えながら使うことが一つの挑戦課題になっています。
また、プレイヤー以外に武器も性能強化(Modify)が可能です。
謎解き・探索
いくつかのエリアに分かれた宇宙船内を行き来しながらキーアイテムを探したり、拾ったオーディオログからパスコードを見つけ出すなど、探索ADVに接近した作りになっています。
“行き来”がポイントですね。一般的なFPSでもキーアイテムを拾う、仕掛けを動作させるといった程度の要素はありますが、本作は複数のエリアを自由に行ったり来たりしながら、指示された目標をこなしていくことでゲームが進行します。
オートマップはあるものの、次の目標地点を示してくれる便利なコンパスなどはなく、あくまでオーディオログや指示内容から自分で探っていくことが求められます。
また、ハッキングは攻略に必須の要素ではありませんが、Replicator(自動販売機)の品揃えを切り替えたり、ハッキング以外では開くことのできないコンテナを開ける、アイテム部屋に侵入する、監視カメラや自動機銃を一時無効化するなどのことができます。
監視カメラに捕捉されると、一定時間大量の敵がやってきます。一度見つかるだけで大ピンチです。
キャラクター強化のための端末。何にどれくらい、どのタイミングで割り振るかが攻略の要。
アイテム画面拡大図。所持できるアイテム数は制限が厳しく、使わないアイテムは捨てる勇気も必要になります。
マップ画面は全体表示するとこんな感じ。ないよりはずっといいですが、正直見づらいです。
復活装置。起動しておくと、ゲームオーバー時にこの装置がある位置で自動復活できますが、Nanites(通貨)を少し取られます。2周目以降などやり込みプレイの場合はセーブを縛って復活装置のみを使ったプレイもありかも?
3. フィクション要素 (ストーリー・世界観・雰囲気・音楽)
サイバーパンクとSFホラーを掛け合わせたような世界観です。
主人公が対峙するのは、前作に引き続き登場する不気味な女性型AI「SHODAN」や、人体改造を施された不気味な機械人間、正体不明の生命体集団「The Many」といったもの。
ゲーム空間はほぼ宇宙船内のみであり、かわり映えのしない景色が逃げ場のない閉塞感を強めています。
プレイヤー以外の人間との接触はほぼ通信に限られ、生きている人間に会うことはごくまれです。精神的後継作であるBIOSHOCKではリトルシスターの存在がある程度プレイヤーを和ませていたと思いますが、本作にそういった存在はなく、全編通して実に孤独です。
逃げ場のない空間で展開されるSFホラーという軸で考えていくと、雰囲気としてはサターンの名作ADV/TPS『DEEP FEAR』などもやや近い作品かもしれません。(あっちは登場人物いっぱいいるけど)
数あるSF系FPSの中でも相当にダークな雰囲気だと言えます。ガチガチのホラーではないものの、息が詰まるような閉塞感や緊張感に飢えている人には全力でおすすめできる作品です。
ストーリーは前作『SYSTEM SHOCK』の42年後である2114年で展開されます。プレイヤーは主に通信とオーディオログからストーリー情報を得、ゲームの舞台である宇宙船(Von BraunおよびUNN Rickenbacker)で何が起きたのかを頭の中で組み上げていく必要があります。
音楽はSF感のあるトランス系の曲や、やや不穏な雰囲気のアンビエントを中心に構成されています。これといって特徴はないものの、雰囲気を作り上げる上でしっかりと役立っている印象です。
船内はほとんどの場所が薄暗く、閉塞感を強めています。陰影のつけ方がカッコよく、旧世代ながら迫力のあるグラフィックです。
クリーチャーの造形はなかなか不気味。
4. 特筆すべき点
息が詰まるような閉塞感・孤独感とダークな雰囲気、ADV的な探索の楽しさ、成長要素の取捨選択や、アイテムのやり繰りから発生する多様な攻略手段。このあたりでしょう。
5. 難点
お世辞にも見やすいとは言えないオートマップ
画面右上にミニマップを表示しておけるのは良いのですが、全体図は小さくて見づらいです。設備を表すアイコンも字がほとんどつぶれてしまっていて判別できません。アイコン周辺に自分でメモを記入できるのはいいのですが・・。探索時は、マップだけでなく、頭の中に施設の構造をある程度入れていく必要があるでしょう。ただ、見ばえが大きく変わらない宇宙船内でそれを実行することは、僕のような方向音痴にとってかなり辛く、1つの目標を達成するために数時間迷うことが何度もありました。
一部の無茶な謎解き
ネタバレになるため詳しくは書きませんが、ある場所のパスコードを入手するために、マップには表示されない(目視でないと確認できない)船内設備をチェックして回る任務があります。場所を絞り込むための手がかりがほとんどなく、広大なフロアを何度も何度も行き来するのはかなり無茶に感じました。調査対象のオブジェクトがマップに表示されないというのが一番の難点でしたね。アイコン表示さえされていればメモを書きながら1つ1つチェックできたでしょうし、それならば大変ながら十分楽しめたと思います。何のためのメモ機能なんだと。
おそらく、ゲームを進めていけば「ああ、これのことか」とわかると思いますので、ここに関しては攻略サイトのお世話になっても全く問題ないと思います。
敵の無限再配備
倒しても倒しても一定時間でまた敵が配備されるために完全に安全な場所がなく、オーディオログなどを落ち着いて読むことが難しいです。文章量も多いため途中で読むのを諦めてしまいました。そのほか、謎解きで頭を悩ませているときなどに次々襲ってこられるとかなりイライラします。
6. 総評
相当に複雑なプレイヤーの成長要素をはじめ、ルール周りの敷居の高さはあるものの、何をどうすれば有利にゲームを進められるのかを自分で探っていく楽しみは何にも代えがたいものでしょう。(参考までに、僕はNORMALでプレイしましたが、シビアながらも詰んで進めなくなるということはありませんでした)
BIOSHOCKにハマった方はもちろんのこと、FalloutシリーズやS.T.A.L.K.E.R.シリーズなどのオープンワールド系FPSが好きな方や、探索ADV全般が好きな方には自信をもっておすすめできる作品です。
序盤は少し面倒に感じるかもしれませんが、頑張ってプレイすることで得られるものは無数にあります。
『IMSCARED』
※ウィンドウ表示時の画像を拡大して掲載しているため、画像がボケています。本来はもっとシャープな画質です。
開発元: Ivan Zanotti's MyMadness Works
発売年: 2016
価格(レビュー時点): ¥398
対応ハード: Win
ジャンル: 主観視点 探索ADV
世界観・ストーリー: ホラー
日本語対応: なし (レビュー時点)
レビュー時点のプレイ状況: クリアおよび全実績解除済
クリアまでのプレイ時間: 6時間程度
ページ内ネタバレ要素: なし
1.概要(ゲームルール・システム・世界観・雰囲気・音楽など)
一見すると、レトロ風のグラフィックを用いたオーソドックスな主観視点型の探索ADV。
ですが、本作はメタ的な遊びを持ち込むことでゲーム空間を外部へ大きく拡張した斬新な作品です。
具体的には、ゲームをある程度進めるたびにデスクトップにファイルが生成されていき、そこから攻略に必要な情報等を得ることができます。そういったPC内の生成ファイルだけでなく、ときにはYoutubeで動画を見せられたりも(もちろんそれもまた攻略の手がかり)。
こんな具合。デスクトップに自動で専用フォルダが作成されます。中身をしっかり読むことが重要。
単にゲーム内を動き回るだけでなく、生成ファイルを逐次チェックし、ゲーム内・外で与えられた情報をフル活用して謎解きに挑むことが求められます。この、ゲームの内部と外部を渡り歩きながら頭をひねる一連の流れが何とも楽しく、まるで現実に起こっている謎に挑んでいるかのような奇妙なリアリティを生み出しています。
謎解きのレベルは少なくとも簡単ではありませんが、自分の力で解けたときの快感は何にも代えがたいものです。ぜひとも、自分自身の力だけで最後まで攻略していただきたいと思います。
その他の要素として存在するのが追いかけっこ的要素。敵キャラのグラフィック自体には何も怖いところはない(むしろかわいい)のですが、追い立てられる恐怖はなかなかのものです。
2.良い点・見どころ
ゲーム空間をデスクトップやブラウザにまで拡張したことにより非常に斬新な遊びが生まれている点。見どころはこれに尽きるでしょう。
今の時代、全く新しい体験を生み出すゲームを作り上げることは至難の業だと思いますが、本作はそれを見事に成し遂げています。
画面は地味ながら、最高に刺激的な作品であることは間違いありません。
思わず笑ってしまうゲーム内のブルースクリーン画面。ゲームを再起動しろと書いてあります。
※上述の通り、本来はもっとシャープな画質です。ウィンドウ表示から拡大しているため字がつぶれてしまっています。
画面だけ見ると本当に地味です・・
3.難点
さほどの支障にはならないものの、意図された強制終了なのかそうでないのかが区別しにくいことがあります。根気よくやりましょう。
4.おすすめしたい人
・とにかく斬新なゲーム体験に飢えている方
5.総評
現時点で日本語対応はされていないものの、プレイに支障があるような難しい表現はありません。
斬新さや刺激に飢えている人には全力でおすすめできる作品です。
プレイ時間がさほど長くないものおすすめできるポイント。
『SILENCE OF THE SLEEP』
開発元: Jesse Makkonen
発売年: 2014
価格(レビュー時点): ¥1680 (STEAM)
対応ハード: Win
ジャンル: 探索ADV (サイドビュー)
世界観・ストーリー: ホラー・ミステリー・ダークファンタジー
日本語対応: なし(レビュー時点)
レビュー時点のプレイ状況: クリア済
クリアまでのプレイ時間: 9時間30分程度
ページ内ネタバレ要素: なし
1.概要(ゲームルール・システム・世界観・雰囲気・音楽など)
ゲームは主人公Jacobの自殺から唐突に始まります。
プレイヤーは彼とともに死後の世界とも思える不思議な空間を探索し、Jacobが自殺するに至った理由と、迷い込んだ世界についての謎を解き明かします。
サイレントヒル、THE CAT LADY、Downfallなどを思い起こさせるような、後悔や自責の念、人生を突如襲った不幸に対する葛藤といった、人間精神の負の部分を正面から描いた作品です。
ルールは、時折現れる化け物をやり過ごしつつ、アイテム収集と謎解きといったオーソドックスな要素をこなしていくことが中心になります。
謎解きの難易度がやや高め。
2.良い点・見どころ
まず目を引くのは切り絵アニメーションのような幻想的なグラフィックでしょう。
The Cat Ladyなどもそうですが、こういった遠近感の欠けた表現は不条理な異世界を描写するのにぴったりだと思います。エフェクト類もかなり凝った印象で、雨や光の表現がとても美しいです。
アコーティック寄りの陰鬱で美しい音楽もまた、世界観をよく引き立てています。
Jacobの心理や人となりについての描写はやや薄味ながらも、緊迫感のあるシナリオからは最後まで目が離せないでしょう。
ぼんやりとした光の描き方が本当に美しい。
古風でしゃれたステージデザイン。アナログ風の質感が素晴らしい。
グロテスクながら、やはり切り絵アニメーションのような幻想的な美しさに目を奪われる。
唐突に現れる謎のバーテンダー。この世界の案内人のように思われるが・・果たして?
Jacobがなぜこの世界にとらわれているのか、それを解き明かすよう促します。
3.難点
謎解き自体がなかなか難しい部類であることと、敵に追われつつ隠れつつの探索が中心になるため、落ち着いて考えられないことが難点です。各マップがさほど広くないのが唯一救いでしょうか。
敵は隠れ場所さえあれば難なくやり過ごすことができますが、探索に集中させてもらえないストレスは大きいです。
敵の挙動が遅い分、隠れ場所で待たなければならない時間が長いこともストレスの原因になっています。
ルールのわかりにくいミニゲームが唐突に始まる点もマイナス。
シナリオを楽しむことに集中させてほしかったですね。個人的には、詰まったときは躊躇せず攻略動画等に頼ることをおすすめします。
謎解きそのものがさほど面白いわけではないため、攻略に頼っても本作の魅力が大きくそがれることはないでしょう。
4.おすすめしたい人
・精神的な負の部分、深い部分を描写する作品が好きな方
・ルールよりも、シナリオ・世界観・雰囲気で見せることを重視した作品が好きな方
5.総評
グラフィックの雰囲気や音楽にひかれるものがあれば十分遊んでみる価値があると思います。